腐男子観察日記

□厄介なモノ
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「こんにちは、橋本先輩」

祐は慣れた様子で、静かで広い図書館に足を踏み入れる。

「祐、こんにちは」

橋本は読んでいた本を閉じて入り口に立っている祐を見る。

「相変わらず、誰もいないんですね」

祐は図書館の奥にいる橋本の所に行き、隣に立つ。

「誰も本なんて読みに来ないからね」

祐がいつ来ても図書館には橋本しかいなくて、図書館に行くと約束している事を抜いても誰もいない。意図的に人を避けているのかと思うくらいだ。

橋本は眼鏡の奥から優しい瞳を見せる。祐はその瞳を見つめて聞いた。

「何を読んでたんですか?」

「ん?最近出た新しい小説だよ」

そうして橋本は小説の表紙を祐に見せる。

「あ…桜野さんのですね」


なんてタイムリーな……。正直、今悪魔の名前は聞きたくなかった……。

でも、小説は好きなんだよ!俺の好きな設定なんだよ、毎回!書いてる本人は怖いのにっ!


「祐は読んだ?読んでないなら貸すよ?」

「いや、俺も読みました」

「祐を引き込んだ妹から借りたの?」

「はい、そうですね…」


本当は書いた本人から「二冊もいらねぇよ。てめぇにやる」と今までの本を全て押し付けられた中にあったんですよ。でも結局、それで全部読んだ俺は良い奴だな…。

だって、全部面白かったし好きだったもん。



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