おまけ。
□祐の妄想(?) 忍はこんな受け。
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そうして卒業式が来た。
あれから、忍は中野と会っていない。
「…卒業、ね」
「松野くん!もう会えないなんて寂しいよー」
「俺もですよ、先輩」
名前も忘れたその先輩を抱き締め、忍は別れの言葉を告げる。
「……もう会えない、か」
忍は無意識に歩き出していた。
「―――何してるんですか、中野先輩」
忍がいつも暇な時に寝転がっていたその場所に、中野がいた。
「…松野を感じられるかと思った」
「あれから、俺はここに来てませんよ。気持ち悪いことしないでください」
「そうか……。来てなかったのか」
忍の言葉に、中野は目線を落とす。
「先輩こそ、来てなかったんですか?」
「二度と現れるなと言われた」
俺の言葉を、アンタは律儀に守ったのかよ。
「真面目だな」
嫌味を込めて、忍は言う。
「……なんで、松野がいるんだ?」
「元々、ここは俺の場所ですよ」
「……そうだな。悪かった。帰る」
帰るってどこへ?
俺にとって帰る場所はここだけど、アンタにとって帰る場所はここじゃないだろ?
アンタは、卒業するんだから……。
もう、俺とは会わないんだから……。
「ねぇ先輩、卒業祝いあげましょうか」
「え?」
忍は中野の手を引っ張り、少しだけ背伸びをした。
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