おまけ。
□祐の妄想(?) 忍はこんな受け。
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「優しくする」
「そういう問題じゃない」
痛くするとか優しくするとか、そういう問題じゃない。プライドの問題だ。
攻めなのに抱かれるというのが、嫌だ。
「そうやって最後まで……お前は俺を拒むのか?」
中野の拘束が少しだけ緩んだ気がした。声も、悲し気に聞こえた気がした。
「……アンタじゃなくても、拒んでる」
誰かは関係ない。役割が嫌だから拒むのだ。
そりゃ、中野を抱けって言われても難しいけどさ……。
「……俺じゃなくても良いのか」
若干中野の言い回しがおかしい。中野だからではなくて、自分が受けというのが嫌なんだ。
「ちゃんと話聞けっ、んぅ!」
咄嗟に後ろを振り向いて訂正しようとした時、中野の手が忍の首の後ろに回り、唇が重なった。
「っん、ん……や、めろ!」
忍は思い切り中野を突き放した。
唇を拭い、中野を睨む。
今までこうして言い寄られる事はあったが、実際に手を出して来たことはなかった。
心のどこかで安心していたんだ。本当に実力行使には出ないだろうと。
だから、裏切られた気持ちだった。
「……アンタだから、会ってたんだ。他の奴の時は、もう二度と会いたくないって思わせる位に色々やった。……嫌だけど。アンタだから……」
「……松野?」
「中野だから。……俺は、卒業するまでなら会っても良いと思ったんだ」
「松野……」
中野は忍に近付く。
「来るな!」
忍は、自分でも気付かない内に瞳に涙を浮かべる。その目で、中野を睨む。
「…………もう二度と、俺の前に現れんな」
忍は中野にそう言うと、呆然としている中野を放って去った。
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