短編集
□友達以上親友未満
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俺とアイツは友達以上親友未満。
アイツとは中高一貫の男子校で会った。
中一の時に同じクラスで第一印象は最悪。顔を見るのも嫌で、会うと喧嘩ばっか。
そういう時に限って席が近くてさ、無視する俺に向こうから嫌味を言ってくる毎日。それがいつの間にか、まあ色々話しが合うから和解。
家の境遇が似てて考え方も似てるから、結構仲良くなったんだ。一緒に帰ったりしてさ、充実してた。
「お前らって仲良いよな。親友?」
いつかクラスの奴に聞かれた。
アイツが冷めた性格してるの知ってたから、俺は様子を窺う。
「……どう?」
「違うだろ。親友じゃなくね?」
「…だな」
お前に言われたら俺は同調するしかない。結構俺は、アイツを優先してるからな。
我ながら健気だと思う。
クラスが一緒だったのは中一だけで、それからはずっとクラスが違う。
中二の時、一緒に帰ろうって待ち合わせしてたら、ドタキャン。まあ、日常茶飯事で怒る気すらなかったけどな。一時間待って一人で帰るとか当たり前。
そして中三、また聞かれたんだ。
「お前らって親友?」
聞くなよ、違うんだから。
「いや、違うけど?」
俺が先回りして言ったらアイツは俺を見た。
「へぇ?違うの?」
なんでそんな事言うかな。お前が言ったんだろ?
親友とかいらない。友達って裏切られるもんだよな、って。
だから言ったのに、そんな事言うなんて卑怯だろ。
アイツが卑怯なんて今更だけどな。
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