ホンマに好きやねん

□03 初めてのサボり
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ガチャ



「む、遅い」

「ベタに屋上かいな」

「廉造のくせに、えらそうな事いいよるなぁ」



ホンマにベタやなぁ………




「なぁ」

「ん?」

「いついくん?」

祭りか……

ホンマに行ってくれるんや……



「夏休み入って3日後くらいや」

「ふ〜ん」

「なんやの!!その反応」



陽菜は、普通やなぁと言って、網に足をかけた。



普通って……


「ほなどないしたら、普通やなくなるんや」

「え〜?例えば、夏休み中や〜言うてんのに、夏休み明けてからとか……」

「あはは…そら普通やないわな」



なんや、久々にまともな会話した思うたら………


陽菜……変わったな……



「は?変わった?」

「えっ!?俺……今、声出してた?」

「おん、はっきり聞こえたで」



つか、俺なにしてんのや……

祭りの話したいんのに………




「まぁ…私が変わったんは……アンタのおかげかもな」

「お…俺?」

「おん」

「なんで?つか、ずっと一緒におったよな?」

「そうやけども……でも一時期めっちゃ暗い時あったやん」




あ………


自覚してたんや




「あんとき、廉造がなんも気にせんと喋り続けてくれたし……」



俺もそれなりに、傷ついとったんやけどなぁ




「なんか、ありがとうな」



陽菜は笑った。



「本日2回目の笑顔や……」

「は?2回目?」

「気にせんでええねん」

「気になるやん」

「それより!!祭り!!7時に迎えに行くわ」

「おん、分かった」

「絶対浴衣着てくるんやで!!」




陽菜の浴衣なんて、9歳ぶりや〜


「また、なんかキモイこと考えてるやろ」

「かっ……んがえてへんこともない………」

「変態。考える事はなんも変わらんな」

「ええやん。健全な男子ちゅうことや」

「健全すぎても、困るのは私」


さっすが幼なじみ………



小学校ん時のあだ名「エロ魔神」も発信は陽菜だった。


そんくらい、陽菜は俺のことを分かっとるちゅうことなんやけどな。



「ほんま、陽菜は流石やな」

「は?」

「小っさい時から一緒なだけあって、俺ん事よう分かってるなぁ思うて」

「………廉造のくせに生意気すぎんねん」

「なんでっ!?俺あかん事言うた!!?」

「言うた。アホかお前」



最近、陽菜が難しくなってきたわ……



2人の間に沈黙が流れる。




いやぁ気まずいわぁ〜………



思えば、2人でこうやって話す事あんまないもんなぁ………




「なぁ」

「はいっ!!?」

「なんで私なん?」

「え?」

「せやから!!なんで私なん?」



なんで言われても……




「う〜ん……分からんけど……」

「?」

「ほっとけんのや」

陽菜をほっといたら……




「怪我でもしてしまうんやないか思うて」

「私は子供かっ」

「どっかで泣いとるんちゃうかな〜とか、また1人でなんか抱え込んでるんちゃうんかな〜とか……色々思うわけや」

「そないな弱い人間ちゃうわ」


陽菜は長い髪を耳にかけた。



嘘や。

陽菜は嘘言っとる時、髪を耳にかける癖がある。



幼なじみやねんから、そんなんお見通しや。



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