桜 雷
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「行くわ」
そう言って
名無しさんは勢いよく
走りだした
―――タタタタ…
バフッ!!
そして
これでもかな勢いで
後ろ姿に、
神威に飛びついた
その感覚に
一瞬では何事か
気がつけなかった神威が
名無しさんだと認識して
大きく目を開き
すぐに振り返って抱きしめた
威「……我慢してたのに」
名無しさんからは
顔は見えないが
きっといじけた顔をしている
「え?
我慢なんてできたの?!笑」
そう言う名無しさんを
苦しいぐらいに締めつけると
ぐぇ、なんて
情けない声が聞こえたのを
神威はニコニコと笑っていた
.