桜 雷 

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阿「よかったのかァ、団長」








そのころ
神威たち春雨組も
帰る準備が整い、
宇宙船に向かっていた












阿「あんたらしくもねェ」



阿伏兎が神威に吐き捨てると
神威は相変わらず
ニコニコ笑って前をむいたまま
口を開いた






威「阿伏兎、あの時…


俺は死んだって

名無しさんだけは
助けるつもりだったんだヨ?



名無しさんの
あんな笑顔見たのは
初めてだったからね




でも阿伏兎…」








そこまで言うと
一旦話をやめて目をあけた









「あの笑顔が
俺に向いてないのって…



名無しさんがいないのって…






思ってたより変な気分だネ」






そう言って
また貼り付けの笑顔に戻る










一瞬、
群青色の瞳を
さらに悲しみの色に
染めた気がした










阿「いっちょ前によォ



大丈夫だ団長、



後ろ姿は
かっこよく写ってるさ」





そう言って
少し後ろにいるであろう
名無しさんたちを
振り返ることもなく











(さよなら、名無しさん…)









ただ前に進んだ




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