桜 雷 

□22
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威「名無しさん、」



――ムギョ…




「ばい…」







神威は名無しさんの両頬を
片手で掴んで


徐々に力をいれた







いまは
名無しさんが、
ああ痛痛っ!なんて
言ってるのもあえて
無視しておく










「…なんで
戦えること黙ってたの?」






一番聞きたかった
疑問だったからか


神威は珍しく開眼している
















「……戦わないって

決めてたから」








その表情を見て


今まで名無しさんが
どこか違うとこを
見ているように
感じていた感覚の答えが
近づいているような気がした







威「どうして?」




その問いに一瞬、
名無しさんは下を向いて
すぐに顔をあげた










「この三人としか


戦わないって…

決めてたから…」






威「…………」






そう言った名無しさんの瞳は



やっと
すがすがしい色を
していたような気がした







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