桜 雷 

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「私…

帰りたいです…


だけど、ちょっと…
怖いんです…




それに…
私は神威が唯一
帰れるところだから…



おかしいでしょう?


天人が大っきらいな私が…







ねえ、
みんなに会いたいよ…


地球に帰りたいよ…





太陽の下で
あの頃みたいに…



みんなで…


笑いたいよ…」










下を向いたまま
無表情でとめどなく
名無しさんは紡いでいく













もうずっと、
涙は流していない
















「松陽…先生ッ…



なんで…」










刀を振るっていた名無しさんは
まだ本当に幼かった








世界を受け入れるには
あまりにも子供だったのに…













憎しみも


悲しみも


痛みも


絶望も



すべてを目の前にして


自ら戦う道を選んだ












そして今
ここで笑っている





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