桜 雷 

□8
1ページ/6ページ






荒れ果てた土地…



人も天人もいない…




あるのは死体だけ…










空から降る冷たい雨は
わざとのように
地面を叩きつける






誰一人いない…











足を進めると
歩いてきた道とは
比べものにならないほどの
おびただしい数の
天人が死んでいる場所があった











「なんだ、これは…」



円を描くように転がる死体






まだ新しい証拠に
酷い悪臭がする












「…ん」



その真ん中に
剣を地に差し支えにして
片膝をついて動かない…


…………あれは人間か?







そう思い近づくと
浅くはあるが呼吸が聞こえた





「貴様……一人で…」





侍だった…







その侍は
俺でさえ寒気を思わすような
鋭い目を向けた









それを見て
こいつが一人でやったことに
確信を持った









「……ッ…」







その瞬間


侍は意識を失った…





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ