main〜参〜

□遅くなってごめんね
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『ごめんね、おいちゃん仕事が入っちゃったからしばらく会えなくなっちゃったんだ。

後、お誕生日おめでとう\(^o^)/』


門田の携帯にこのメールが届いたのは9月15日、門田京平の誕生日。その日は門田の家でお祝いをしようとこのメールを送ってきた赤林がいつも通りのヘラヘラ笑顔で言っていた。そのことが嬉しくて、門田は自分の誕生日が今までより待ち遠しくなっていた。




このメールが届いた時はそれなりにショックだったがいつも一緒につるんでいる狩沢達や、学生時代からの知り合いの静雄や折原達、高校生の時の後輩に祝ってもらったことと、お互いに仕事で約束が無しになることがあったりしていたためそこまで落ち込みはしなかった。

門田は誕生日から結構たってからも赤林と会えていない。いつもは用がなくてもメールがきたり、電話がきたりと約束が無くなった時も時間が空いたからと少しの時間でも会いに来てくれていた赤林から一切の連絡がなく、何かあったのかと少し心配しながら門田は自身の家のリビングで携帯を見ていた。
もしかしたら赤林からメールがくるかもしれないと思っていたから。

だが、一向にメールはこない。電話も。今までこんな事はなかった分、門田はもしかしたらと赤林は自分に愛想が尽きてしまったのか、それとも、やっぱり何かあったのかと考えながら何時の間にかメールを打っていた。


『会いたい』と。

だが、そのメールは送らずただ見つめているだけ。

ピンポーン

インターホンが鳴り誰か来たのかと思いながら門田は立ち上がって時計を見た。もう明日まで後30分という時間だった。こんな時間に来る人は門田は1人しか思いつかなかった。
急いで玄関まで行き、ドアを開けるとそこにはいつものようにヘラヘラと笑っている愛しい人が立っていた。

「いやぁ仕事が大変でね、電話も出来なくてさ。おいちゃん京平君に会えなくて寂しかったよ。」

久しぶりに聞いた声に門田は赤林の手を握り中に引っ張って抱きついた。赤林は引っ張られて驚いたがすぐに門田を優しく抱きしめた。

「寂しかったです....」

ポツリと赤林の肩に顔を埋めながら門田は呟いた。
赤林はその言葉に普段は門田が全く言わない言葉に驚いた。そして声を出さずに笑った。こんなに可愛い事を言ってくれるなら仕事を増やされてもいいなと思いながら門田の頭を優しく撫でた。

「そうかい、おいちゃんもすっごく寂しかったよ。」
「...............」
「..あぁ、そうだメールで言ったけど顔をみて言いたかったんだよね。遅くなっちゃたけど京平君、お誕生日おめでとう。」

門田はさっきより強く赤林を抱きしめて顔をあげ、微笑んだ。

「ありがとうございます、赤林さん。」

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