×
□Come closer.
1ページ/4ページ
『いってェー…』
人気のない深い森の中、鮮やかな赤い髪をなびかせ、誰に言うでもなくポツリと呟く。
たった今、無数のアクマと戦ったばかり。
しかも、その体と顔にはいくつもの痛々しい傷があり、切れてしまったらしく腕から流れる一筋の赤い血を眺めてはため息をつき、『ついてない…』っと苦笑いをしてはまた。ため息をこぼす。
エクソシストとになった今、こんな傷は日常茶飯事だが、今回は別。
ちょっと油断を見せてしまったという自分の不注意でおってしまった傷なのだから…自業自得……。
森を大分歩くにつれ深まる霧…
うすきみの悪いそこから早く出たいなどと苦笑いをし、その重たい足を進ませる。
数分歩いた時だった。
突然と足を止める少年。
眉を寄せると深くため息をつくなり呆れたような顔をしては、前を向いたまま声をだす。
『隠れてないで出てきたらどうさ』
しかし、全く反応がなく、霧は深まるばかり…
普通ならそこで諦めるのだが、オレはそんな潔い人間じゃないし、絶対にいるという確信があった……
なにより。オレのかんは当たる。
『……そこにいるのは分かってるさ。ティキ』
ほらね。オレのかんは当たる。
どこから現れるかまでは予測できないが。確かにそいつは…ティキは、深くなる霧の中から微笑みながら出てきたら。
額に十字架のような傷があり、薄黒い肌。かぶっていたシルクハットをとると、そのクセのある髪をかきわけながらこっちに近付いてくるティキ。
*