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□3p
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3p……これが僕の限界であり、こえることのできない壁…。
たかが数p…
それでも、僕にとっては何p…なん10pにもなる。
こえられない壁…
『神田!』
『…なんだ?』
『さっきコムイさんが呼んでましたよ』
『コムイが?……そうか。分かった、今行く』
任務から帰って来たばかりの神田…。
本当なら真っ先に『お帰り』と言いたいのだが……心のどこが奥にあるものが邪魔をする。
あと数pで言えたのに……
それすらも言えない僕は情けない。
目の前から去っていく、神田の背中を眺めることしか出来ない…。
途中…手を出し、服を掴もうと試みるが……あと3pってところで手が止まる。
(なんで…)
あぁ…行っちゃう……
また会えなく…話せなくなるかもしれない……
(僕はなにやってんだ…)
言いたいなら言えばいいだろ?
喋りたいなら喋ればいいだろ?
触れたいなら触れればいいだろ?
行かないでほしいなら……止めて、僕だけを見てほしいなら無理矢理でも引き止めて、僕の方を向かせればいいだろ?
何でそんな簡単なことができないんだ?
"不安"だからか…?
自分の気持を言うのが怖いからか…?
"不安"だよ…
不安で不安で、気持が押し潰されそうになる……
『…モヤシ』
『…?』
『お前も来い…』
『え…?』
大分前にいたはずの神田が、今。僕の目の前にいる。
そして、あと3pってところで、触れることのできなかった神田に…いや。
神田から触れた…。
『ちょ、神田!?』
『………。』
『黙ってないで、何か言って下さいよ!』
『………から。』
『え…?』
『一緒にいたいからだつってんだろ!!何度も言わせんな、』
照れくさそうに、耳まで赤く染め。ふいっと前を向いた。
腕をつかまれたまま…顔は見せない。
そんな神田が可愛いと思った。
さぁ…言え。僕…
あと少し…3pだけ……
距離を……3pという長い隙間を…うめなきゃ…
*