ラグーン
□それは、とても幸せな…
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「──焔くん、疲れてるみたいだね」
それは、とても幸せな…
「そう…かな?」
焔くんは、首を傾げて僕を見た。
大きな紫電の瞳を惜しげもなく見せ、時折重そうな瞼が下がる。
その顔には、明かな疲れが見え隠れしていた。
「うん、凄くね」
僕が言うと、焔くんは疲れた様に笑った。
「…そんなに、疲れていないんだけどね」
逸らされた目は、先程までやっていたプリントの上へと舞い戻る。
無理してるな、と思った。
昨日も朝まで書斎に籠もってたのに、その後すぐに凶退治に行って。
帰ってきたらきたで、学校で集めたプリントをやるとか何とか。
無理しなくても、良いのに、と思う。
せめて、僕の前だけでも、と。
「焔くん」
僕が名前を呼ぶと、焔くんは必ず僕を見る。
「焔くん、おいで」
僕が呼ぶと、首を傾げながらも四つん這いで側に来る。
自分の膝を軽く叩き上に座る様示すと、焔くんは顔を真っ赤にしながらも、何も言わずに僕の膝に座る。
とても可愛い、僕の恋人。
スッポリと僕の腕に収まった焔くん。
後ろ向きに座ったから顔は見えないけど、きっとはにかんだ顔をしているだろう。