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□コレが今の俺の精一杯。
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俺にも笑って
俺にも話して
俺にも振り向いて
──お前のことが気になるんだ…。
コレが今の
俺の精一杯。
ニビシティの広場で、必死にピカチュウに向かって話しかけるレッド。
あのピカチュウは知ってる。
この町で、先程まで騒がれていたピカチュウだ。
何でお前が?とは思ったが、その思いは直ぐにどうでも良くなった。
「──とは、仲良しになろうぜ〜。な、ピカチュウv」
ピカチュウに向かっての満面の笑み。
語尾にはご丁寧にハートマークまで付けて。
──何故かムカついた。
俺には、そんな顔見せてくれたことがないくせに、と。
「うあっち!くーーっ、かわいくねえなあ〜」
決して懐かず、更には電気ショックを与えられたレッド。
「ずいぶんとのんびりしたもんだな、レッド」
「!」
俺が声をかけると驚いた顔をし、そして嫌そうな顔をした。
「グリーン」
当たり前なのは、わかっている。
どうせ俺たちはライバルだ。
だから笑顔は向けられない。
ほら、今もまだ俺の顔見て、いつもの嫌そうな顔をしている。
…それが、とても辛い。