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□願い事
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砂国から帰ってきた俺たちは、久方ぶりの母国に一息ついた。
願い事
旅の途中にずっと感じた蟠り。
そしてそれは、前々から感じていた違和感。
なぜ、自分を傷つけるの?
なぜ、自分の命をなげうってまで俺を助けようとするの…?
魔笛を探しに行き人間に捕まったときの裁判所でのグウェンダル。
敵が襲ってきたとき、俺を日本へ帰そうと1人で何人もの敵を対峙したコンラット。
洞窟で俺とサラレギーを残し助けたヨザック。
俺が人質になるくらいならと自ら身代わりになろうとしたヴォルフラム。
他にももっともっと、数え切れない程の人達がいる。
なぜ、俺の為に?
なぜ、自分を大切にしない?
俺が王だから…。
俺がこの国の象徴だから…。
──けどね。
俺、そんな事されても喜べないよ…。
自分の命を無駄にして欲しくないんだ。
『誰かの為に──!』
この強い想いは、人をも強くする。
中に眠っていた力を引き出す。
それは良いことだと思う。
──けど。
『貴方の為なら死ねる』
安易に、そんな事言って欲しい訳じゃない。
想って欲しい訳でもない。
ただ。
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