金田一

□殺して下さい。
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──多分、俺、もうすぐ側にいられなくなるから。
だから、その前に伝えておくよ。

「俺を殺して」

──そして、俺をもっと深く愛して…。





殺して下さい。





『俺を殺して』

そう言ったら、目の前の人は驚いている様だった。

「──何を、言い出すかと思ったら」

引き吊り顔を、無理に笑って見せて。
流石に可哀想だと思い、「う、そ。冗談だよ」と言った。
また、説教されるかな?と思って。
少しだけ冗談めかして、説教を回避した。

「――じゃあ、俺、行くね」

部屋を出ようとしたら、背中から体当たりされて、抱きしめられた。
強く。
きつく。
窒息するくらいに。

「高遠…?」

俺の愛しい、寂しがり屋な殺人鬼。
こんなことは、いつものことだけど。
何だか、いつもより寂しそうで。
だから、身体の向きを変えて彼の頭を撫でた。

「どうかした?」

とても柔らかで、サラサラな髪。

気付いたとき、彼に誘拐されていて、その内に一緒に暮らす様になった。
いつの間にか彼を好きになっていて、実は向こうも愛してくれてたから誘拐したとか言ってきて。
「独り占めしたかった」と、子供の様な誘拐の理由に笑った。
殺人鬼の彼は、よく警察に追われた。

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