□君と僕 君と私
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あぁ…



僕の命の灯火が




ゆっくりと…消えていく…




ははは……(悲笑)



意識が薄れていく………



君との記憶が薄れていく…



でも。



まだ、死ねない……



君を残しては……


逝けない……



僕は、帰るんだ。


君のもとへ



だけど…
もう無理みたいだ……

君の泣き顔が、哀しむ顔が目に浮かぶ。



ごめんな…



武将は武将らしく
戦場で散るのが
僕の夢なんだ。


君ならきっと
わかってくれる。


僕が世界で一番

愛した人だから……



今の僕は情けないな。


今ここで自分の死を
倒れて待っているんだ。


死を待ち続ける暇があるなら、

最後まで……

自分の心臓が止まるまで
頑張ってみようかな…



ただ…
死を待つのではなく
最後まで敵陣に独りで
突っ走る…そして死ぬ…


その方が武将らしかな…


僕が突っ走ったって
僕らの国は敗北…


意味が無いけど…

悔しいんだ。

目の前に敵総大将がいるのに…


それに、僕らの国が滅んだら君が死ぬ……


君が死ぬのだけは
絶対に御免だ。


この国だけは…
この門だけは…
君だけは……僕が守る。



目の前には敵総大将……

目の前には敵総大将……


そいつを討ち取れば


君は死ななくてすむんだ!!

そう僕は心に叫び
ばれないように立ち上がる

痛い…痛い…痛い…

でも…君だけは…


『死ねぇぇー


僕は敵総大将目掛けて
走った…体の痛みなんて
どうでもよかった…





そして…僕は。


弓に刺さったって
刀に斬られたって
槍に刺されたって


痛くない
倒れない

まわりに敵兵がいたって
まわりに敵武将がいたって

僕の目には敵総大将しか
映っていないんだ



僕は帰るんだ君のもとへ


『敵将討ち取ったり


これで僕らの勝利だ…


そして僕は力なく倒れた




まわりの敵兵達が退散していく。




僕は目を閉じた

君との思い出を思い出す…

君の笑った顔
君の泣いた顔
君の怒った顔
君の寝ている顔


僕はもう君の何気無い
表情が見られないんだ…


『死にたくないな…
君と一緒にいたいよ…』


最後にもう一度 会いたい
『もう無理か…』


敵兵はもう退散したのだろう…

まわりが静かだ…


すると…


『…………〜〜


誰かが僕を探してる…

きっと君なんだろうな…


僕は声のする方角を向く



やっぱりそうだ……

君だ……


何て僕は幸せ者だろう…


最後に君に会えるんなんて



僕は君の呼ぶ声には
答えられないけど……



ありがとう…


君が幸せでいられることを祈っているよ。


さよなら。


僕の愛した人。


僕はいつまでも

君を愛してるよ…









さよなら…。
 

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