拍手小説
□コインランドリー
2ページ/2ページ
「お、沖田先輩!ずぶ濡れじゃないですかっ…!」
「ああ、これね。外に出てたら急に雨が降ってきちゃって…家まで走って帰ろうとしたら運良くここを見つけてね。雨宿りついでに服も乾かしてもらおうと思ってさ」
あれ?沖田先輩って家こっちの方だっけ?
「……っ…!!??」
私のふとした疑問は沖田先輩の行動によって頭からプツリと排除された。
「おおおおお、沖田先輩っ…ななななな、なにを…!?」
「なにって…服、脱がなきゃ乾かせられないでしょ?」
コートの下の白いセーターを勢いよく脱いだ沖田さんの上半身は裸…引き締まった体に水滴が淫らに散らばり、犬みたいに髪をフルフルと揺らす…
「だ、だ、だからと言って…!」
カチャカチャっとベルトを外す音が鳴り、私の体温は更に上昇する。いやらしい…いやらしすぎて目が…
「千鶴ちゃん…君は人の裸体に興味があるのかな?それとも…そんなに顔を真っ赤にして、僕を誘ってる?」
「っ!ち、ち、違います!!」
ニヤリと口角を上げ、笑う沖田先輩の目線から逃げるように私は急いで後ろを向いた。
カチャカチャ…
スッ…
サッ…
布切れの音がよく響く…
「あのっ、沖田先輩?」
「なーに?」
「全部脱ぐんですか?」
「当たり前でしょ?そうじゃなきゃ乾かす意味がないじゃない」
「っ…」
私は絶対後ろを見ないように手を伸ばし、先程のバスタオルを取る
「こ、これっ…使って下さい…」
「…いいの?」
「もちろんです!!」
私は全力で頷いた。
クスクスっと笑い声が後ろでしたけれど、私の手からバスタオルを取って…
「ありがとう」
その言葉に何だか胸が更に熱くなった。
「時に千鶴ちゃん?足元のソレ」
「え?………………………………っ…き、キャー!!!!」
足元に落ちていたピンクのそれ…コインランドリーの壁に立て掛けてある2本の傘。
コインランドリーではいつまでも笑い声が響いていた。
終