地下書庫

□第3章 希望の戦士たち
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強襲[第三艦隊防衛戦]

30年5月21日午前9時24分
スピリチャルガーディアン前線秘密基地

司令塔『緊急事態!!緊急事態!!ウィンドウィングスは、ただちに指定された区域に急ぎ出撃せよ!!繰り返す!!ウィンド』

突然鳴らされた緊急警報.
俺たちは、すぐに出撃所まで集合した.
特に何も知らされぬまま俺たちは、指定された区域に向かった.
そこは、例の合流予定地点だった.

〜数分前〜
同年同日午前9時02分
アースクエイク軍コルラー軍港

グリードー「でけえ...」

俺は、目の前の光景に驚かされていた.
噂で聞いていたが、まさかこれほどのものとは...
こんなデカ物が、海の上に浮かんでいるとはねえ...

ガリオン「我がアースクエイク軍とストーム軍が共同で開発した、
世界最大最強の輸送艦だ.
全長1、5q幅30m.
武装は、左右につけられている新型ランチャー計60門.
サイクロプス族が使っているものの改良型だ.
旧輸送艦を改造してつくった.
内装は、木製部分がおおいが、
外装は、全て金属でできている.
魔力によって完全なる防御力を誇る.
さらに、新型スクリューシステムを採用.
速度も従来の手こぎに比べれば、相当なものだ.
艦名はー...」

得意気に説明をしていたガリオンだったが、
名前をうっかり忘れてしまった.
ガリオンが悩んでいるところへ、一体のトリトン族がやってきた.

コーカス「サザンクロスですよ.ガリオンさん.」
グリードー「おめー誰だよ?」
ガリオン「輸送艦艦長コーカス・カネルドだ.」
グリードー「カネルド!?」
コーカス「いえいえ.ストーム軍では、あまり驚かれない階級です.」
ガリオン「我々の軍では、一人しかおらんがな.」
コーカス「今回は、5の輸送艦、20の戦艦で航海します.
このサザンクロスを旗艦とし、輸送艦バリトリアム4艦、
戦艦バレッグ20の大部隊です.
ストーム軍ナイアド軍港に向かい航海します.
途中で、第3艦隊の駐留部隊と合流して軍港に着岸します.
本作戦の一切の指揮をまかせましたよ.ガリオン・コマンド殿.」

コーカスは、そう言って深くお辞儀したあとサザンクロスに乗り込んで行った.
辺りでは、土族や水族が物資を輸送艦に次々と詰め込む作業がせかせかと、
おこなわれていた.

グリードー「随分とおじいちゃんだな.」
ガリオン「無礼者.あの御方は、30年前の戦争で活躍した御方なのだぞ.
礼儀をわきまえろ.」
グリードー「年の功ってやつですか.ふぅ〜.」
リーオン「グリタン手伝ってよー!!」
バルト「ウォルフィーさぼるな!!」
ウォルフィー「船をながめてただけだろ!!」
グリードー「辺りが騒がしいな.」
ガリオン「ところで、そなた見張りをしていたのではなかったのか?」
グリードー「見張ってるさ.ガリオン、お前をみながらでもな.」

そう言ってグリードーは、ゆっくりとガリオンの肩に手を回そうとする.

ガリオン「クロスブロウザン!!」
グリードー「どうぇっぷ!!」

華麗なる右ストレートだった.
さらにガリオンは、倒れているグリードーを一発踏みつけ、
双眼鏡を投げつけた.

ガリオン「それで見張りでもしておれ!!」
グリードー「きびしいね〜.........なあ.」
ガリオン「どうしたのだ?」
グリードー「お客さんだ.」

ガリオンは、双眼鏡を奪い取り中を覗き込んだ.
そこには、多数のガーゴイルの姿が映っていた.
ガリオンは、スフィアを手にとり大声で叫んだ.

ガリオン『敵襲!!敵襲!!
対空戦闘用意!!
地上軍は、船の上から迎撃せよ!!
空軍部隊は、直ちに上空退避!!
敵の攻勢に備えよ!!
それ以外の者は、必要最低限の物資のみを船に積み込め!!
出航を急がせよ!!
ファル!!そなたは、スピリチャルガーディアンに応援要請!!
一隻も沈めるでないぞ!!』

辺り一帯に緊張が走り出す.
サイクロプス軍団が優先的に船に乗り込み甲板に出た.
そこからランチャーにより迎撃する気なのだろう.
それ以外の部隊は、ひたすら荷物運びに集中した.

グリフィン『全軍スフィア機動!!アースクエイク軍鉄壁の守りを見せるぞ!!』
シーホース『こちらバリトリアム2艦載部隊!!対空戦闘に移行する!!』
グリードー『ウォルフィー!!リーオン!!俺たちも行くぞ!!』
ウォルフィー『俺は、地上の手伝いをする!!空は、まかせたぜ!!』
グリードー『わかった!リーオン、こい!!』
リーオン『了解、グリタン!!』

あちこちで無線が混線状態になる.
輸送艦からシーホース達が空に上がる.
港の状況は急変し、戦闘状態に陥った.
物資積み込み途中の艦隊である.
敵にとっては、まさに絶好の標的であろう.
敵の接近を許してしまえば、あっという間に火の海と化す危険な状況であった.

ガリオン『敵の接近を許すな!!こちらから迎撃せよ!!』
シーホース『了解!最善を尽くしますよ!』
ガーゴイル『こちら第2艦載部隊.敵に気がつかれた.無線封止を解く.
A部隊は施設の攻撃.B部隊は輸送艦への攻撃.C部隊は上空制圧.
各部隊了解か?』
ガーゴイル『了解!散開行動に移る!全軍低飛行で接近し艦隊を攻撃せよ!』

ガーゴイルの部隊が港へ近づいてくる.
近距離で攻撃をおこなうつもりだろう.
ガリオンは、それを予測していた.
すぐさま輸送艦隊にグリフィン軍団を均等に配置した.
グリードーとリーオンは、防衛線ぎりぎりでガーゴイル達を少しでも多く減らすように布陣した.

ガリオン『こちらガリオン!物資の積み込みまでどのくらいだ!?』
味方軍『こちらバリトリアム2!物資積み込み完了まで残り5時間!!それまで耐え抜いて下さい!!』
味方軍『敵がこっちに近づいてきた!!ランチャー、撃ちかたはじめ!!』
敵軍『大丈夫だ.敵の艦載部隊は、それほど脅威じゃない.落ち着いてかかれ.』

湾全体が戦闘区域になった.
作業場は、艦載部隊や戦艦の働きもあって何とか攻撃をしのぐ事ができていた.
だがそれも長くは、続かなかった.
敵が作戦をかえたのだ.

敵軍『あの戦艦部隊が邪魔だ!!みんな落されるぞ!!』
味方軍『輸送船を意地でも守りとおせよ!!押されていない!!いけるぞ!!』
敵軍『戦艦部隊にも動きなし.よし、A隊とB隊は目標を戦艦部隊に集中せよ.
敵は、積み込み作業中だ.逃げられる事はない.』
敵軍『了解!!』

これが戦局を一気に変える事となった.
ガリオンもここまで予測していなかったのであろう.
停泊中の戦艦がどれほど危険なめにあっているのかを.

味方軍『こちらバレッグ7!!敵が上の集中しだした!!一斉攻撃を受けたら木クズになっちまう!!
至急援護を要請する!!』
味方軍『こちらバレッグ19!!こっちも同じだ!!』
グリードー『あちこちで、救援要請だ!援護に回ってもいいか!?』
ガリオン『駄目だ!現状を維持せよ!!』
敵軍『よし!!一斉攻撃開始!!』
味方軍『何考えてんだ!!こっちの命がかかっているんだぞ!!至急え』

叫んでいた無線のいくつかが急に途切れた.
そのあとに聞こえてきたのは、雑音に混じった爆破音であった.
さらに聞こえてきたのは...

?『が...ひ...2...』
敵軍『撃沈完了!!』
敵軍『やったー!撃沈したぞ!!』
味方軍『こちらバレッグ17!!被弾!!航行不能!!損害甚大!!総員退艦!!』
ガリオン『しまった!!』
味方軍『そっ、損害甚大!!総員退避!!』
敵軍『よし、敵の陣形が乱れ始めたぞ.引き続き攻撃せよ.』
味方軍『救助作業にうつれ!!また一隻沈むぞ!!』

私とした事が、完全にパニックに陥ってしまった...
水軍まで手が回らなかったのだ...
まさか一つの判断ミスでここまでの被害が出る事を予測していなかったのだ...
一体どうすれば...

ガリオン『落ち着け!!落ち着くのだ!!』
味方軍『いやだー!!死にたくない!!』
グリードー『ガリオン!!やはり俺の退かせろ!!俺はあんたに従う!!だから!!』
リーオン『専門家にまかせてみれば!?』
グリードー『なんのだよ!?』
リーオン『下の専門家だよ!!海軍に詳しい人いるじゃないか!!』

単純な事を忘れていた.
それぞれに得意なことがあるという事を...

ガリオン『そうか!!サザンクロス艦長コーカス殿!!』
コーカス『こちらコーカスどうぞ!』
ガリオン『艦隊の指揮権を渡してもよいか!?』
コーカス『おまかせください.出航可能な艦から湾外脱出を優先せよ!!』
ガリオン『コーカス殿!!正気か!?今この布陣を解いてしまえば、
対空攻撃に支障が!!』
コーカス『その為にあなた方がおられるのではないですか.
空の敵.頼みましたよ.我々は、あなた方を信じます.だから私たちの事も.出航急げ!!』
ガリオン『......わかった.グリードー!!そなたは、戦艦上空で善戦せよ!!
他の艦載部隊は、彼らの援護を!!グリフィン団は、輸送艦周辺の援護を!!
これ以上の撃沈を許すな!!』

まさに激戦であった.
敵味方が入り乱れ、海に落ちて逝った.
戦闘能力で圧倒するネクロム軍に互角に戦えたのは、
シーホース達の連携攻撃、グリフィンの鉄壁の守り、そしてグリードー、リーオンの武勇が、
生み出した結果であろう.
しかし優勢と言える状況でもなかった.
この状況でかったとしても、ストーム軍艦載部隊やグリフィン団のほとんどが、
海に沈んでいくであろう.
例え湾外脱出に成功しても、その状況下で本当に勝ったと言えるのだろうか?

オドネル『艦隊は、守られていますがこのままでは戦局てきに不利です.
指示を!』
ガリオン『ファル!!援軍は!?』
ファル『もうまもなく!!』
シュウ『ウィンドウィングス!!目標を指示せよ!!』
ガリオン『きたか!』

このまま続くかと思われた消耗戦に一転の光が差し込めた.
シロン達が間に合ったのであった.

シュウ『...でいいの?』
シロン『ああ.バッチシだ.でも指示する必要もないかもな.』
カーくん『目標は、はっきりとスフィアに映ってる!』
ロッキー『ネクロム反応を持つ者だけですからね.』
ガリオン『そなたらは、グリードーの援護を!!』
シロン『了解!!ウィンドウィングス散開!!』

シロン達は、敵の部隊に向かって突撃を開始した.
味方軍からは落胆の声が流れ始めた.

味方軍『援軍って、一個小隊かよ!!』
味方軍『やはり消耗戦はさけられんな.』
敵軍『敵の増援らしき部隊を確認.一様警戒せよ.』

おやおや、俺も信用されてねえな.
じゃあ、やる事はきまっている.
見せつけてやるんだよ.
俺たちの強さをな!!
行くぜ!!シロン散開!!

つづく
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