地下書庫

□第3章 希望の戦士たち
8ページ/38ページ

裏切り[エアシリス]

30年5月24日午後14時26分
ナイアド軍港

シロン「っていうわけだ.」
ソンレイ「とんだ大惨事だったぜ.」
ガリオン「やはり手を組んだか...おまけにそなたのサーガも奪われるとはな...」
ロッキー「しかし、なぜグロバニアが?」
ガリオン「おそらく将来性だろう.」
カーくん「将来性?」
ウォルフィー「見てみな.」

ウォルフィーは会話に割ってはいるように、なにかをシロン達の目の前に投げつけた.

シロン「なんだこりゃ?」
ロッキー「ガン?」
カーくん「でも見た事がない型だねえ...」
ガリオン「通称マシンガン.高速連射型ガンだ.」
ウォルフィー「まあ見てなって.」

ウォルフィーは、そういったあと近くにあった岩を狙って、引き金を引いた.
連続する破裂音と共に、岩がみるみる崩れていく.

ソンレイ「ウヒョー!!」
ルーボン「スゴイ威力ダシャー...」
ズオウ「岩、なくなった.」
ガリオン「あやつらの開発力は、我々の比じゃない.
ものすごい速さで進んでいるのだ.」
シロン「つまり、その兵器目当ての同盟ってわけか.」
ガリオン「そういうことだ.」
ウォルフィー「うわさでは空を飛ぶ兵器まで開発されてるってよ.」
ロッキー「たった数週間で...」
カーくん『というわけで、緊急帰還します.』
ジュネット『了解.無事に帰って来い.通信を終了する.』
ジュネット「無事に帰ってこいか.......エアシリス奪還の好機だな.」

同年同日午後15時01分
セナス海上空

サーガと離ればなれになるってことが、これほどまでとはな.
力がみるみる抜けていくのが解った.
ソンレイの話によると、魔力を節約して帰ったほうが良いとの事だ.
俺は、それに忠実に従った.

シロン『く...』
ロッキー『大丈夫ですか?』
カーくん『顔が、真っ青だよ.』
シロン『大丈夫だ...』
ロッキー『僕が先頭に立ちます.ゆっくり行きましょう.』
シロン『.....ああ...』

どうやら、強がっていても体は正直らしい.
たしかに後ろからついていけば、空気抵抗も少なくて楽に飛べる.
いつもならさほど感じなかったが、
今日にいたっては、なぜかものすごく楽に感じた.
このまま何事も無ければよいのだがな...

カーくん『やっと半分かー...シロン大丈夫か?』
シロン『大丈夫だ...なんてことはねえ...フゥー...』
ロッキー『......』

口では言ってみるが、相当つらい.
まったく情けねえ.

ロッキー『?...前方にスピリテャル反応!ガーディアンの仲間でしょうか?』
シロン『そりゃありがたいな.』
不明飛行体『目標確認.妨害電波を飛ばせ.』
ロッキー『?スフィアが、故障かな?』
シロン『こっちもだ!!何も映っていねえ!!』
カーくん『こっちもだ!!これは、故障じゃない!!』
不明飛行体『敵の混乱を確認.エアシリスを奪還せよ!!』

そのときシロン達は、言葉を失った.
彼らは、自分達の事を敵と見なしていたからである.
なぜスピリチャル軍が?
疑問に思ったが、考えている場合でない事をすぐさま認識する.

ロッキー『前方から攻撃を確認!!回避成功!!危なかったー...』
シロン『司令塔!!司令塔応答せよ!!チクショウ!!まったく通じやがらねえ!!』
カーくん『エアシリス?』
敵軍『アシュレイめ.やっかいなところに隠しやがったな.ヘキサドラゴンを狙え!!』
ロッキー『後ろにつかれた!!狙いは、僕なのか!?』
シロン『待っていろ!!今助け..くっ...何匹いやがるんだ!!』
敵軍『敵が分断している.いいぞ!』
カーくん(今敵がアシュレイさんの名を言った?)

敵を何とか振り払いながらシロン達は、持ちこたえていた.
だがいつまでも戦っているわけにもいかない.
長期戦になればなるほどシロンの体力は消耗していった.
そのときシロンは、決断した.

シロン『俺は、もう駄目だ!』
ロッキー『そんな!!シロンさんあきらめないで下さい!!』
カーくん『そうだよ!!いつもらしくないよ!!』
シロン『聞け!!隊長としての最後の命令をだす!!』
ロッキー『最後って!!』
カーくん『ちょっと待ってよ!!』
シロン『ロッキー!!カーバンクル!!』
ロッキー『はい!!』
カーくん『なに!?』
シロン『おまえらだけをなんとしても脱出させる!!絶対に帰還せよ!!』

それが最後の命令...
ロッキーとカーバンクルは、認めたくなかった.
これまで頑張ってこれたのも、シロンの勇士があったおかげである.
そのシロンが、今自らを盾にして自分達を守ると言っているのだ.
普通は逆だろう?

ロッキー『最後の別れみたいな事いわないで下さい!!絶対に生きて帰って下さい!!』
カーくん『そうだよ!!いっしょに帰ろう!!』
シロン『おしゃべりは、禁止だ!!帰還を優先せよ!!いいな!?シロン散開!!』
敵軍『ウインドラゴンに注意!!強敵だぞ!!』
敵軍『クラフト部隊、ウインドラゴンの足止めをせよ!!』
シロン『じゃまするな!!ウィングトルネード!!』

シロンは、ロッキーに近づいてくる敵を次々と撃破していった.
しかし、敵は何体もおり、
ロッキーが、わずかな隙を見せたとたん攻撃をくらい、
背中からカーバンクルを、落してしまったのだ.
その落ちたカーバンクルを、スピリチャル軍がすかさず奪還した.

ロッキー『ぐわ!!しまった!!』
カーくん『うわーーーーーーー!!』
敵軍『もらった!!エアシリスの奪還に成功!!やったぞ!!』
カーくん『放せ!!』
シロン『ちくしょう!!カーバンクルを助ける!!』
敵軍『くらえ!!ホーリー!!』
シロン『ぐわああーーーーーーーーー!!』

いつもならたいした事がないだろう.
しかし疲れきったシロンには、どんな攻撃も有効だった.
シロンは、力なく海面に叩きつけられた.

ロッキー『そっ、そんな.........うそだーーーーー!!』
敵軍『やつも逃がすな!!必ず仕留めるんだ!!』
ロッキー『ヒック....必ず...必ず生きて帰る!!』

ロッキーの目には、大粒の涙が流れ出ていた.
しかしロッキーは、止まることなく進み続けた.
今自分がいなくなってしまうと、散っていった仲間達が報われないと思ったからであろう.
彼は、決心した...絶対に生きて帰ってみせると.

ロッキー『ウググ...』
敵軍『なんだこいつ!?さっき以上の機動だぞ!!』
敵軍『まるで別物だ!逃がすな!!』
ロッキー(もう少しだ!!もう少しで!!)
敵軍『だめだ!!追いつけない!!』
敵軍『戦闘区域外での戦闘は、認められていない.引き返すぞ.』

ロッキーは、逃げきる事に成功した.
そして海を渡りきる事に成功した.

同年同日午後18時19分
セナス海砂浜

ロッキー「ハァ...ハァ...ハァ...ハァ...」

砂浜で休んでいたロッキーの乱れた呼吸がいっこうに戻らなかった.
ロッキーは、とにかく落ち着こうとして必死に呼吸を整えようとしていた.

ロッキー「ハァ....ハァ....ハァ....」
?「ご苦労だったな.」
ロッキー「ジュネットさん?」

そこには、まぎれもなくジュネットとスピリチャルガーディアンの仲間達がいた.

ロッキー「た...ただいま...ハァハァ....帰還...し....」
ジュネット「つかれたところ悪いが、用済みだ.」
ロッキー「へ?...」

ジュネットが、ロッキーに銃口をむける.
一発の銃声が響く.
ロッキーの体から温かい液体が流れる.

ロッキー「なぜ....で.....す.........か?.........」

ロッキーは、その場に倒れて動かなくなった.
その目からは、涙が流れ出ていた.
ロッキーは、全てを失ったような感覚に陥った.
そう思えば、これから死ぬとしてもまったく怖くなかった.
彼は、そのままゆっくりと目をつぶった.

ジュネット「まったく、やっかいなところに隠してあったぜ.」
兵士「アシュレイには、また逃げられてしまいましたね.」
ジュネット「だが、もうこれで終わりだ.プロジェクト・デイノイドを始動する!!本部へ帰還する!!」
兵士「はっ!!」

ジュネット達が引き上げていってから数分後、
再び別の部隊がロッキーの前に現れた.

アシュレイ「よーし.まだ、くたばちゃいねーな.救護班!!」
兵士「大丈夫そうです.急所は、外れています.」
アシュレイ「そうか.それは、よかった.」
ローレンス『こちーーーーら、ローーーーーーーレーーーンス.
こちーーーーーーーーらも、みつーーーーーーけーーーーーーたあーーーーーーーーー.
いのーーーーーーちにーーーーーーーは、べつじょーーーーーーーーーうなーーーーーし.』
アシュレイ『よし.全軍!!風の聖地オリオルクに向かうぞ!!』
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ