地下書庫

□第3章 希望の戦士たち
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悪魔再び[氷山の攻防]

30年5月24日午後12時07分
ガナルカ山脈〜ビックフットの住処跡地〜

俺達は、ソンレイ達に連れられてビックフットの住処にやってきた.
襲撃を受けていたのは、知っていた.
しかし...

シロン「まるで、戦場後地だな...」
シュウ「誰か他にいないの?」
ルーボン「ミンナ逃ゲタシャー.」
ソンレイ「俺達が村のはなれで引きつけられているとき襲撃を受けてな.
まあ、ほとんどのビックフットが逃げのびたけどな.だから、ここをどっちにしろ出て行くつもりだったけどな.」
カーくん「えっ?狙いは、きみ達の力じゃなかったの?」
ズオウ「石油.」
ソンレイ「この近くに最近石油が取れる場所が見つかったんだ.
何でも、食料に必要なんだとさ.」
カーくん「闇って、石油を食うやついた?...まさか!」
シロン「それって...」

悪い予感がした.
この先を聞くのがとても怖かった.
知ってしまったら...
だが、あらかたは、予測がついていた.
いずれこうなる事を...

ソンレイ「闇と火と人間のグロバニア軍が、連合したとかいってたなあ.まったく迷惑だよな.」
シロン「連合!?」

彼らがとうとう動き出したのだ.
闇が、世界を得る為に立ち上がったのだ.
シロンは、一瞬意識がもうろうとした.
なぜならば、どう考えたとしても彼らが世界を握っているも同然に状態になってしまったからだ.
自分達が今までやってきた事は、無駄だったのか?
命を懸けて戦った事は、意味がなかったのか?
シロンは、自問自答を繰り返していた.
もっとも答えはでなかったが...

ソンレイ「でも安心だよな.そんなときこそ、風軍との連合でやつらを」
シロン「トルネード軍はもうない.」
カーくん「おまけに、土も水も内乱状態...」
シュウ「どう考えたって...」
ソンレイ「えっ!?」

ソンレイが必死にこちらに呼びかけてくる.
だが質問のほとんどは、頭から抜けていった.
反撃しようが無い.
どれだけ重要な拠点をつぶそうとも、軍の少ない彼らには反撃の余地は全くなかった.
ただ、呆然としていた.

ソンレイ「そうかー...でも.」
シュウ「でも?」
ズオウ「完全に、なくなってない.」
ルーボン「軍ガ少ナイノナラバ、集メレバイイ.」
ソンレイ「希望は、なくなっちゃいねー!!よし!!行動は早い方がいい!!行くぞ!!」

シロン達は、このとき思った.
そうだ、まだ完全になくなったわけじゃない.
少しでも希望がある限り、それにすがるんだ!!
すがってすがりまくって、どんなことが起ころうとも、信じ続けるんだ!!
自分達が信じた道を!!
彼らは、忘れるところだった.
闇が他国と連合した事により、何もかもおしまいだと思った.
でも、自分達がつくったチャンスがちゃんと今でもあるではないか.
グリードー、ガリオン、ウォルフィー、リーオン.
それに、アースクエイク軍、ストーム軍.
何よりも、自分達が旅立つきっかけになったスピリチャルガーディアン.
その数は、少なすぎるかもしれないが、
今たしかに存在する希望だ.
それを消してしまってはいけない.
それを信じるんだ!!

シロン「まだ終わっちゃいねーぞ!!ネクロム!!」
シュウ「今度からは、もっときびしくなりそうだね.」
カーくん「でも希望は、たたれたわけじゃない!」
ソンレイ「そうそう!そのいき、そのいき.」
ルーボン「ソウトキマレバ、早速軍港ニ向カウシャー!」
一同「オーーー!!」 ルーボン「シャーーー!!」

シロン達は、とにかく山を降りていった.
飛べばあっという間だろうが、そういうわけにもいかなかった.
万が一、ここいらをうろついているネクロム軍が、彼らを発見したら、
きっと追跡されるだろう.
今、ナイアド軍港に反乱軍が結集している事がばれれば、
きっと全て終わってしまうだろう.
なんとしてもそれを隠さなければならなかった.

シロン「しっかし、空を飛べたらなあ...シュウ、疲れた.」
シュウ「了解.朝からずっとリボーンしっぱなしだもんね.カムバック!!」

シロンは、結晶化せずにネズミらしき物体に変化した.

ソンレイ「.....なにこれ?」
ルーボン「ウマソウダナ.」
シュウ「なんか...ね...」
カーくん「説明は、後でしてあげるから.」

こうして、シロンの天敵がまた増えたのであった.

同年同日午後14時21分
ガナルカ山脈〜山道〜

シロン「.....」(逃)
ルーボン「.....」(追)
カーくん「ルーボン、食べちゃ駄目だよ;」
ルーボン「...........ネメル...」
シュウ「ダメ.」
ソンレイ「後が怖いからあきらめろ.」
ズオウ「あきらめ、肝心.」
ルーボン「シャーーー...」(落ち込み)
シロン「ガガガ...」
(訳、こいつ...)

大体こんな感じで、山道を歩いていた.
空は、いい天気で絶好の散歩日おりだろう.
しかし、雪で囲まれた谷間にきたときそれは起こった.

シュウ「まだつかないの?」
カーくん「行きは、ずっとシロンに乗っかてたからねえ...まだまだ...」
シュウ「ハァー...」
?「相変わらず、能天気ですねえ.」

一堂があわてて声のほうに目をやる.
そこには、美しい黒い羽根の持ち主がいた.

シュウ「ランシーン...」
シロン「ガガー!!ガガガガガアガガガ!!」
(訳、てめえ!!何しにきやがった!!)
ソンレイ「お友達じゃなさそうだね.」

シュウとソンレイがそれぞれのパートナーを本来の姿に戻す.
本来の姿に戻った、彼らもまたランシーンをにらみつけた.

ランシーン「クックックッ...いつもながらに元気がよろしいですねー.」
シロン「この人数相手に勝てると思ってんのか?」
ランシーン「野蛮ですねえ...
簡単に力で解決をしようとする.もう少し頭を使ったらどうですか?こういう風にねえ!!
グレーデンリッヒ!!ツェッペリン!!キルビート!!アーサー!!」
シュウ「な!?」

ランシーンの合図と同時に、谷の上から4体のレジェンズがおりてきた.
闇属性レジェンズだ.
彼らは、シロン達を囲むように布陣した.

シュウ(こんなにいたのに、まったく気がつかなかった...なぜ?)
シロン「お仲間さんの登場ってわけか.」
ズオウ「むむう...」
ソンレイ「場所が悪いなー...」
カーくん「とにかく逃げません?」
ルーボン「ソウイウワケニモイカナイ.6対5コチラノホウガ有利シャー.」
シロン「といっても...戦えるやつは、4だがな.」
シュウ&カーくん「う...」
グレーデンリッヒ「キャッキャッキャッ!!申し遅れたな!!
俺は、グレーデンリッヒ!!ガーゴイル族だ!!」
F・ツェッペリン「お初にお目にかかる.ファング・D・ツェッペリンと申す.以後よろしく.」
キルビート「フフフ...私は、キルビート.バイコーン・キルビートちゃんよ.」
アーサー「ランシーン様にお仕えするアーサーだ.」
シロン「おやおや、テメエはネクロム軍に入ったのか?」
ランシーン「なぜあのような野蛮な、軍に入らねばならぬ.
彼らは、私についてきただけですよ.」
グレーデンリッヒ「まあ、闇にもいろいろあるってこった.」
ランシーン「さあ、おしゃべりはそこまでです.かかれ!!」

すると、グレーデンリッヒは、ズオウへ、
バイコーンは、シュウとカーバンクルへ、
F・D・ツェッペリンは、ソンレイへ、
アーサーは、ルーボンへそれぞれ向かっていった.
シロンは、もちろんランシーンに飛び掛かった.

シロン「オラァーーー!!」

シロンは、いきおいよくランシーンに飛び掛かった.
そしてランシーンと組合になった.

ランシーン「相変わらず、血気が強いようですねえ.」
シロン「やかましい!!」

一言言葉を交わした後、シロンは一度距離を開けて、
バーサク化した.

ランシーン「おや?コマンド化ではないのですか?」
シロン「うるせえ!!ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと終わらせるぞ!!」
ランシーン「やかましいですねえ.まあ、こちらも長居する気はないですからねえ.行きますよ!!」

グレーデンリッヒ「俺の相手は、ガキかよ.ケッ.」
ズオウ「ガアーーーーー!!」
グレーデンリッヒ「わりいな、おまえは、こいつと遊んでな.」

そういって、グレーデンリッヒは、地面に片手をついてなにかを唱え始めた.
すると魔方陣が浮かび上がり、氷でできた怪鳥が姿を表した.

怪鳥「シャギャーーーー!!」
ズオウ「敵、やっつける!!ガアーーーーー!!」

F・ツェッペリン「人間の子供か...美女の生き血の方が...」
ソンレイ「おっさん!」
F・ツェッペリン「おっ、おっさん!?」
ソンレイ「ごちゃごちゃ言ってないで、おっぱじめんぞ!!」
F・ツェッペリン「ゆるさぬ.」

ソンレイは、自慢の槍を片手で回転させながら、F・D・ツェッペリンに突進していった.

ルーボン「シューシューシューーーーー!!」
アーサー「なんだあ?とろそうなやつだあなあ.」
ルーボン「シュシャーーーーーーー!!」

ルーボンは、奇声を上げ背足を引っ込めて丸くなった.
そして、アーサーに向かって相当な勢いで転がり始めた.
アーサーは、それを交わし、ルーボンは、そのまま壁にぶつかった.

アーサー「危なっかしいやつだなあ.これじゃ、手も足も出ねえな.
まっ、それは、お互いさまってかあ?ヒッヒッヒッ...」
ルーボン「シュシャーーー!!」

カーくん「やばいこっちに来た!!」
キルビート「あら、かわいい.お姉さんが遊んであげるわ.」
シュウ「結構です!!」
キルビート「別に遠慮しなくてもいいわよ.」
カーくん「うっせー!!ブス!!逃げるよ!!」
シュウ「うん!!」
キルビート「ブッ、ブス!?キィーーーーーーー!!このクソガキどもお!!」

キルビートは、地面をけって走り出した.
カーバンクルは、アクセルを使い速度を上げた.
そしてシュウは、右のもの影へ.
カーバンクルは、そのまま直進した.
当然のことながら、キルビートはカーバンクルに狙いを定め追跡を開始した.
シュウは、ほっとしたが、そういうわけにもいかなかった.

シュウ「ふう...カーくん大丈夫かなあ?」
グレーデンリッヒ「よう.」
シュウ「!?ムグ...」
グレーデンリッヒ「おっと、喋るんじゃねえぞ...大切なものだからなあ、壊しちゃいけねーけどよ.」
シュウ(隠れてたんだ...最初からこうなる事を予測して...)

シロンとランシーンは、ほとんど互角だった.
どちらかと言うと、シロンのほうが一方的に攻撃をくわえていると言った感じだったが、
ランシーンは、それをうまく交わしていく.
何やら戦闘を長引かせるのが目的のようだった.
そうしていると、いつのまにかネクロム軍が編隊でこちらに向かってきた.

ネクロム軍『いたぞ.全員戦闘態勢をとれ.』
ランシーン「....時間切れですか.みなさん引き上げますよ.」
シロン「ちっ、こちらも逃げるぞ!!」
怪鳥「シャギャアアーーー!!」
ズオウ「敵、やっつけた!」
アーサー「ちっ、引き上げかよ.」
ソンレイ「こっちだ!!ここからなら上空の敵に見つかりにくい!!早く!!」
キルビート「ああん!ランシーンちゃま、置いてかないでー!」
カーくん(ゾク!!)

ランシーン達が上空から逃げた事によって、
シロン達は、ネクロム軍を無事にやり過ごす事ができた.
しかし一人足りない事に気がついた.

シロン「おい!!シュウは!?」
ソンレイ「俺、しらねーぞ.」
ルーボン「見テナイシャー.」
ズオウ「氷の鳥と戦ってたから、解らない.ズオウ、解らない.」
カーくん「まさか...」

シュウは、連れ去られていたのだ.
彼らの目的は、最初からシュウ自信だったのだ.
そのころ

アーサー「軍はまいたぜ.」
グレーデンリッヒ「キャッキャッキャッ.まくいったなあ.」
ランシーン「ええ.あなた達の働きもあったからですよ.」
キルビート「ランシーンちゃまのためだもの.キルビートちゃん頑張るわよ.」
ランシーン(ゾク!!)
アーサー「結局、グレーデンリッヒの一人もうけかよ.」
F・ツェッペリン「しかし、見事な作戦でしたよ.ランシーン様.
ところで、その少年をどうするのですか?」

グレーデンリッヒの背中に乗っているアーサーがランシーンの代わりに答えた.

アーサー「持っている力を利用するんだとさ.こんな人間のガキがねえ...」
ランシーン「フッフッフッ...彼を利用出来れば、想像を絶する力が手に入るでしょうね.
それがどれほどのものか解りませんが、逆に飲み込まれる恐れもある.
もっとも、それを制御する方法は、ありますがね.」
グレーデンリッヒ「諸刃のヤイバってやつか.楽しみだねえ.」
ランシーン「力ほど魅了的なものはない...もうすぐですよ...アグニ...必ず...」
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