地下書庫

□第3章 希望の戦士たち
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氷山の戦士[水のサーガ]

30年5月24日午前10時22分
ガナルカ山脈

よう、シロンだ.
まったくやっかいな事を任されたぜ.
これから帰ろうってときに、雪山に行かされたんだ.
文句の一つぐらいつぶやきたくなるさ.
何でも水のサーガとそのパートナーをつれてこいって言われてな.
もちろん反対ぐらいしたさ.
だがな、ジュネットのヤローが『借りは、多い方がいいだろう.』だとさ.
まったく...俺は、機械じゃねえってんだ.
反抗ぐらいするか?
おっとその前に、昨日の出来事をはなそう.

同年23日午前8時21分
ナイアド軍港

ガリオン「実は、其方らに頼みたい事があるのだ.」
シロン「なんだよ?これから帰ろうってときに.」
ファル「実は、ガナルカに行ってほしいのです.
そこは、一年中雪で覆われた雪山なのです.
そこで...」
シロン「雪山に住んでいた俺が?」
ファル「はい.そこに行って、水のサーガとそのパートナーをつれてきてほしいのです.」
シロン「なんで?」
ファル「保護ですよ.サーガは、シュウ君と同じ子供です.
その力を狙って、何者かがビックフットの村を襲撃しているらしいのです.
だから、彼らをつれてきてほしい.そうすれば、何者かもあきらめるでしょう.」
シロン「群れごと連れてくればいいんじゃねーのか?」
ファル「そっそれは...」
ガリオン「......」

ガリオン一行は、黙り込んでしまった.
知られたくない理由があるのだろうか?
そこへグラシュティグ族がやってきた.
今回結成された同盟軍のストーム側の人物だ.
土と風に友好条約を結ぶきっかけを作った人物である.
サザンクロスも彼女とガリオンが作り上げたものだ.

キリシ「何も隠すことないでしょう.ガリオン?」
ガリオン「....そうであるな.
はっきり言って、わが軍の戦力向上もかねている.
それにあそこは、『サーガ力』以外得るものも無い.
ビックフット族が、戦闘に巻き込まない為でもある.
どうか力を貸してはくれぬだろうか?」
グリードー「ガリオンが珍しく頭を下げているんだ.行ってやれ.」
ドゴオ!!
グリードー「ぎゃーーーー!!」
ガリオン「私も頭ぐらい下げるわ!」
シロン「理由が気にくわねえな.戦力向上って、戦力がそこまで乏しい状況なのか?」
キリシ「ほとほと兵が少ない国.その上、国内で種族争いが耐えない状態になってしまいました.
我々が、今ネクロム軍やヴォルケーノ軍の進行を受けてしまえば、
守りきる事はまず不可能でしょう.
少しでも多くの英雄がほしいのです.どうか我々にもう少し力をお貸しください.」
シュウ「どうするの?」
シロン「うーん...」
カーくん「ジュネットさんは、『行ってこい』って言ってるけど.」
シロン「わかったよ.いきゃーいいんだろ.で、他に誰が来るんだ?」
ガリオン「そなたらだけだ.」
シロン「ワッツ?」
ガリオン「秘密作戦だ.隠密に行動したい.」
グリードー「そういう事だ.がんばれ.」

そう言ってグリードーは、ポンとシロンの肩を叩いた.
シロンは、怒る気力もなくなり他のメンバーに声をかけた.

シロン「はぁー...じゃあ行くぞ...」
シュウ「おー!」
カーくん「寒そうだな〜...こんなときこそシロンの羽根でつくった防寒着!!」
シロン「いつのまにつくってやがった?」
ロッキー「僕は、ここに残っててもいいでしょうか?」

しばしの沈黙が流れた.
そして、その場にいた一同がそろってこう言った.

一同「えぇ!?」
ロッキー「ふぅー...苦手なんですよね...雪...」

ロッキーは、素直に質問に答えた.
その顔は斜め下をむいて目は、もの悲しそうになっており、
口は、微笑状態であった.
なにか過去の因縁があるのかないのか、微妙な顔であった.

シュウ「なんで来ない?」
ロッキー「ちょっとね...昔...」
一同「............................」
カーくん「なにかあったの?」
ロッキー「まあね...過去のちょっとした思い出さ...」
一同「............................」
シロン「......は!!よし!!明日出発な!!」
シロン(なんなんだ!!この自らも落ち込むような空気は!?
まずい...洗脳される前に逃げなければ!!)
ロッキー「いってらっしゃい...雪には、十分注意して下さいね...雪には...」
一同「............................」
シロン(.................すごく悲しい......なぜだ?......)(洗脳完了)

同年24日午前10時32分
ガナルカ山脈

で、今にいたるわけだ.
結局、昨日中こういう空気だったわけさ.
珍しくシュウが黙り込んでいたなあ.

シュウ「寒いねー...」
カーくん「寒いねー...」
シロン「だからって、俺の羽根にくるまるな.痛い.」
シュウ「いいじゃん温いんだし.」
カーくん「減るもんじゃないからいいじゃないか.」
シロン「まあそうだけど...ハァー...で、どこにいった」
ズゴオ!!
シュウ「おわー!!」
カーくん「シロンが生き埋めにーーーー!!」

突然振ってきた巨大雪玉によって、
シロンは生き埋め状態になってしまった.
すかさず掘り起こそうとしたが、それを阻むものが現れた.

?「闇の手先め!!覚悟しろ!!」
?「おまえら、悪いやつ!!やっつける!!」
シュウ「え!?」
カーくん「違います!!違います!!」
?「問答無用!!」
?「やっつける!!」
シュウ「なんかやばくない;」
カーくん「ひとまず逃げますか?槍みたいなのを持ってるし;」

その者たちは片方は、シュウと同じぐらいの人間の子供で、自分の身長同じくらいあろう槍を持っていた.
もう片方は、ビックフット族の子供だった.
人間の方は、とても子供とは思えぬ力で槍をブンブンと回転させたまま、
こちらに向かって急に走り出した.
そして一定の距離まで近づくと、人とは思えないほど高く飛び上がり、
そのまま、槍を斧のように地面にたたき落とした.

?「オラァ!!」
シュウ「どわぁ!!」
?「うまくにさけたなあ!!だがコイツならどうだ!!」

狙われたのは、シュウの方だった.
その少年は、槍を構え直すと、
今度は、横に一振りする.
シュウは、あわててかがんだ為に髪の毛が数本切れるだけですんだ.
シュウは、体勢を立て直すと、一気に走り出した.

?「やっつけるー!!」
カーくん「ヒェェーーー!!」

ビックフットの方は、カーバンクルを狙ったが、
その速さについていけず、一定の距離を保ったままおいかけっこが続いていた.

シュウ「うわぁ!!」
?「こんにゃろう!!おとなしくやられやがれ!!」
シュウ「いた!!ヒィ!」
?「終わりだな.」

少年の方は、シュウの運のよさに手間取っていたが、
シュウが雪に脚をとられて、転んで立ち上がろうとしたところを首元に槍の先を突きつけた.
シュウは、恐怖で動かなくなってしまった.

シュウ「.........」
?「さーて、やっとつかまえたぞ.おっと、動くなよ.命が惜しかったらな.」
カーくん「ああ!!シュウ!!」
?「つかまえた!!」
カーくん「あぐ!!」

カーバンクルがシュウに目をやったスキをついて、
ビックフットが、のしかかるようにカーバンクルを取り押さえた.

?「あれ?ルーボン?」
?「ルーボン、いない.ルーボン、いなくなった.」
?「お前ルーボンをどこに隠しやがった!?」
シュウ「しっ、しらない...」
?「隠すと、ひどい目に遭うぞ!!」
シュウ「隠してない!!」
?「おまえ、ルーボンかくした!?」
カーくん「してません!!してません!!」
?「どうしてもシラをきるってんなら、容赦しねーぞ?」
シュウ「本当に知らない!!クゥ...」

シュウの首から血が少しにじみ出る.
少年が槍に力を少し入れた様だ.
とたん、シュウが急に黙り込んだ.

カーくん「まずい!!そこの人間!!シュウから離れろ!!」
?「なんだ?だまそうってのか?」
?「だまし、通用しない!!」
カーくん「死にたくなかったら早く離れろ!!」
?「なにいって」
シヤーーーーー.....

その場の緊迫感を一瞬で破壊する様な音が辺りに響いた.
どうやらシロンを生き埋めにした巨大雪玉から聞こえてくるようだ.
シュウの首元に槍を突きつけていた少年が、シュウを開放して、
雪玉の方に走っていった.

シヤーーーーーーー.....
?「まさか...ズオウ手伝って.」
ズオウ「わかった!!ズオウ、ソンレイ手伝う!!」

どうやら、少年の名前はソンレイ、
ビックフットの名前はズオウと言うらしい.
シュウとカーバンクルは、雪玉を掘り返しだしたソンレイとズオウを黙って見物していた.
しばらく掘り進んでいると、緑色の首が一本出てきた.
ヒュドラ族だ.

ソンレイ「ルーボン!!生きていたか!!」
ズオウ「ルーボンいた!!無事!!」
ルーボン「雪山デ転ガルモノジャナイシャー...」
シュウ「..................」
カーくん「...................」
ソンレイ「イヤーよかったよかった.じゃあさっきの続きといきますか?」
?「ふっかーつ!!」
ソンレイ&ズオウ「どわわわわわわわわ!!!!」
ルーボン「シャーーーーー!!」

突然山状(掘り起こした為)に積もっていた雪玉の中から、
地獄の底から復活したドラゴンが出てきた.
ルーボンは、その勢いで大空高く飛ばされてしまった.

シロン「マジで死ぬかと思ったぜ...」
ソンレイ「.......」(あんぐり)
ズオウ「ウインドラゴン!?強敵!!ソンレイ、一緒に戦う!!」
ソンレイ「腰が抜けた.」
ズオウ「ソンレイ大丈夫?」
シロン「おい、おまえビックフットだな?」
ソンレイ「ズオウまかせた.」
ズオウ「ソンレイ...ズオウ、頑張る!!」
シロン「聞けよ!」
ズオウ「があーーーーーー!!」

ズオウは、シロンに向かって拳を繰り出した.
シロンは、それを素手で受け止めると、
そのままズオウを地面に置いた.

ズオウ「あう.」
シロン「あー、待て待て.敵じゃねえよ.味方だ.」
シュウ「キリシさんに言われてここにきたんだ.」
カーくん「そゆこと.」
ソンレイ「え!!あのおばちゃんに!?」
シロン「証拠もあるぜ.」

そう言って、シロンはメッセージスフィアをソンレイとズオウに見せた.

キリシ『水のサーガと雪山の戦士よ.どうか我々のもとにきてくれないでしょうか?
今あなたたちの武勇が、我々には必要です.どうか力を貸して下さい.』

そこでメッセージは終了する.
ソンレイは、それを見た後こう言った.

ソンレイ「なーんだ.カムバーック!!」

そういうとズオウは、全身が光で覆われて、
ソンレイの頭上でソウルドールとなった.

ソンレイ「俺たちに用があるのか.」
シロン「おまえが水のサーガだったのか!?」
シュウ「いきなり襲うなんて酷いじゃないかー!!」
カーくん「相手をよく見てから行動しろ!!」
ソンレイ「ワリイワリイ.俺は、水のサーガ・ソンレイ.
パートナーは、ビックフットのズオウよろしくな.」
ズオウ「よろしく.」
ソンレイ「それと...あれ?またいねーぞ?」
ヒュルルルルルルルルーーーーーーーーー...........
シロン「ん?.......ガハァ!!」

シロンの頭上に緑色の球体が着弾した.
そしてそのままシロンは気絶した.

ルーボン「ビックリシタシャー.」
シュウ「うわー!!シローン!!」
カーくん「傷は、浅いぞー!!」
ソンレイ「ヒュドラ族のルーボンだ.」
ヒュドラ「シャア?」
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