天然炸裂ガール
□変化
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あの再会から数時間が経った。
美也子はキャリーバッグにしがみつきながらずっと携帯を弄っていた。
鉄がどんなに話しかけてもチラリと見るだけで何も言わないという美也子の一方的冷戦状態へと陥っている2人。
「ねーちゃん」
「・・・・」
「ねーちゃん苺大福あるんだけど食う?」
「(コクン)」
「はい」
「(もぐもぐもぐ)」
「・・ねーちゃん口にあんこついてる」
口元についた餡子を取ると、少し遅れて反応した美也子はペチンと力なく鉄の手を叩く。
驚きはしたが大した威力でもないので特に気にしない鉄。
「なぁ、ねーちゃん」
「(もぐもぐ)」
「なんで怒ってんの?」
頬張っていた苺大福をゴクリと飲みこみ、キャリーバッグから口を開けていないお茶の入ったペットボトルを取り出しゴクゴクと飲むと美也子はムスッとした顔を鉄へ向けながらブツブツと話す。
「デカイ、可愛くないから、以上」
「・・・ねーちゃん人は変わるもんだぞ」
「私こんな人知らない。私の知ってる鉄くんは私より小さかったし、声可愛かったし、小さかったし」
「小さかった二回言ったぞねーちゃん」
「人の揚げ足取る様な子にお姉ちゃんは育てた覚えはありません!」
「取ったことも育てられたこともねーけど・・」
「しゃらっぷ!」
そう言って鉄の肩に全力のパンチをぶつけたが
「〜〜〜〜〜!!!??」
絶賛成長中の鉄の肩は美也子からしたら鋼鉄同然の硬さで逆に返り打ちにあった。
「ねーちゃん大丈夫?」
「しゃらっぷ!筋肉おぼけしゃらっぷ!」
それだけ言うと美也子はさっきと同じようにキャリーバッグにしがみつき携帯を弄りツイッ○ーにて「うちの親戚が筋肉おばけすぎて笑えない」等、鉄に対しての愚痴を一頻り呟くと手を止めた。
チラリと鉄を見るとキャリーバッグから離れて鉄の方へ体を向けて座り直す。
「ねーちゃん?」
「正直お姉ちゃん、鉄くんの変わりようについてけないです」
変わりよう?と鉄は美也子の言っていることがわからず頭にハテナを浮かべる。本人からしたら自分は特に変わったところはないと思っているからだ。
「かれこれ何年鉄くんと会ってないかお姉ちゃんは記憶があやあやのふやふやで全く覚えてないけど」
「頑張れよねーちゃん」
「しゃらっぷ!とにかく!私の中での鉄くんはもうちょっと中学生らしい体系に筋肉なんだよ!可愛いんだよ!なのに・・・なのになんでそんなデカイの!なんでそんな筋肉お化けなの!このイケメン!この超大型巨人!駆逐されろ!!髪刈上げてる調査兵団の兵長に削がれちまえ!」
「途中ねーちゃんが何言いたいのかちょっとわかんねーんだけど・・・あとどんだけ同じこと指摘すんだよ」
頬を膨らませて手元にある携帯のストラップをじゃらじゃらと弄りながら美也子は言葉を続ける。
「だって・・・・鉄くんあんまりにも変わり過ぎてて知らない人みたいだから・・・」
美也子の発言に鉄は口をぽかーんと開けて驚いた。
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