英雄の兄と落ちこぼれの妹

□相容れない蛇
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部屋に戻ったリアンはナギニと戯れるリドルを横目に、椅子に座った

サラとバジをクッションの上に降ろすが、サラはスルリとリアンの腕に巻き付いて引き止めた


《ドラコも使えそうなのだがな》

『ドラコ?』

《あやつのリアンへの思いは純粋な親愛だ
それにマルフォイ家の影響力は未だ健在
あの寄生虫やその印もそうだが、あの愚兄やダンブルドアという者の事も全て話せば良いだろうに
そなたの役に立つのではないか?》


ドラコにはハリーの事も全て言っているわけではない

言えば優しいドラコならきっと味方してくれる

けれども…


『言う必要はないよ
ルシウスさんは確かに死喰い人だけど、ドラコもそうなるとは限らない
ぼくのせいで戦いに巻き込むことなんて…
そんな事あっちゃいけないんだよ』


ハリーとはもう一緒に居られない

むしろ敵対するだろう

そうなればダンブルドアや不死鳥の騎士団とも敵対する事になる

この戦いは純血の魔法使いといえども、はっきり言ってドラコには関係のないものだ

ダンブルドアとヴォルを元にリアンとハリーの戦いなのだから

何を正義に、何を悪に

誰が正義で、誰が悪か

そんな曖昧で答えのない戦いに

終わりの見えない戦いに

ドラコを巻き込みたくない、巻き込んじゃいけないんだとリアンは思っていた


《…あやつはリアンのせいだとかそんなことは思わないと思うが》

《バジもあのマルフォイの坊やがそんな風には思わないと思います
むしろ…》

『…』


ナギニと戯れていたリドルだったが、リアンの表情が段々暗くなっていくのに気付いて眉をしかめる

小さく溜め息を吐きながら、ねぇと声を掛ける


「…リアンが決める事だろう
ドラコは使えると思うけれど、別に居なくても困りはしないし
それとも、あんたの様な御老体じゃあこの先やってけないからって事かい?」

《貴様が無能だからだとは考えないのか?
まぁ貴様の無能さを補うぐらい造作もないが、あいつも十分優秀だ
今からでも鍛えれば大きく伸びる
そしてその力は大きく役立つ》


とは言いつつもサラはリアンが拒むのなら無理強いは出来ない

魔法契約抜きにしても、サラは心に決めたのだ

リアンに従い、共に生きると

リアンが望むならどんな事でも叶えてみせると


『ドラコは予言や運命に縛られたぼくやハリーとは違う
自由でいるのにそれを奪っちゃいけない…』

《…リアンがそう望むなら》

「君の好きにすればいいさ」


二人の言葉にリアンはホッと息を吐きながら微笑んだ







2017/09/25

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