英雄の兄と落ちこぼれの妹

□新たな手駒
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リドルに案内された先にはローブを羽織り、ビクビクと辺りを見渡すピーター・ペティグリューと4メートルはありそうな大きな蛇が居た

ピーターはリアンに気付いて声にならぬ悲鳴を上げて目を見開いた


「ご、ご主人様…」

「杖を寄越せ」

「は、はい…」


リアンを気にしながらリドルに杖を渡すピーター

だがリアンはピーターに見向きもせずにナギニであろう大蛇に近付いていく


『---あなたがナギニさん?---』

《…はい、あなたは?》

『---初めまして---
---ぼくはリアン---
---ヴォルから話を聞いてずっと会いたかったんです---
---これからよろしくね---』


蛇語を話せるリアンに警戒するナギニだったが、自分の主人と同じ色の目をしたリアンに困惑している様子が伺える


「---ナギニ、よく来てくれた---
---こいつは俺様に協力してくれている---
---しばらくはお前もこいつの所に居てもらう---」


見かねたヴォルがリアンの腕の中から声を掛ける

黒猫の姿でもヴォルにはすぐ気付いたのか、ナギニは嬉しそうにヴォルを見つめた


《あぁ、ご主人様…
お会いするのをどれ程待ち侘びたか…
なんという美味しそ…無残な姿に…》


…発言はかなり怪しいが、ヴォルを慕っているのだろうナギニは首をもたげ、ヴォルにこうべを垂れる


『ナギニさんも連れて行くの?』

「魔法で小さくすれば問題はないだろ」

『まぁいいけど…
---ナギニさん、バジリスクのバジと白蛇のサラも居ますが、仲良くして下さいね---』


リアンの言葉と共に襟とポケットからサラとバジが顔を覗かせる


《ふむ…寄生虫にしては良いペットを連れているな
魔力も高い上に賢そうだ》

《バジと申します
主共々、よろしくお願い致します》

《…ナギニですわ》


サラの言葉のせいか、ナギニは素っ気ない

まぁいずれ慣れるだろうとリアンは特に指摘はせず、ナギニに声を掛けてから小さくする呪文を掛けた


『ナギニさんはこっちのポケットね
後は…そいつはどうするの?』


リアンはピーターに振り返りながらヴォルとリドルに尋ねる


「こいつなんだけど、ちょっと働いて貰おうかなって思ってるんだよね」


リドルがそう言って愉しそうにピーターを見つめた

青褪めながら震えるピーターは今にも倒れそうな程怯えている

それがリアンには理解出来ず、ついつい冷めた眼差しになる


「バーサ・ジョーキンズって女から面白い情報を手に入れてね…
優秀な手駒が増えるかもしれないよ」


クスクスと笑うリドルにリアンは彼を見上げる

視線に気付いたリドルはリアンに優しく微笑み掛けた


「とても優秀な奴らしいよ
僕自身は詳しく知らないが、忠誠心は本物だろう
きっと君の役に立つよ」

『手駒…ってことはヴォルとリドルの部下、死喰い人?』

「あぁ、そうだ
まだ残っていた奴が居るとは思わなかったがな
ほとんどが死んだかアズカバン行きになった」

「表向きはアズカバン行きさ
だが真相は違ったって話だよ」


ヴォルが興味を示し、目を細めた

そんなヴォルにリドルは一つの名前を挙げる

“バーテミウス・クラウチ・ジュニア”


「あいつか…」

「ちょうどこのワールドカップにも来るらしい
絶好の機会だとは思わないかい?」

「そうだな
あいつはベラ同様に優秀な部下だった
使えるな」


闇の陣営や死喰い人に関してはほとんど知らないリアンはヴォルとリドルの話を黙って見ていた

そんなリアンにサラが囁く


《バーテミウス・クラウチという名前に覚えがある》

『え?』


サラの言葉にリアンは目を見開き、肩に居るサラを見つめる

サラはジッとヴォルとリドルを見つめながら以前、日刊預言者新聞で見かけた事があると言い放つ


《元魔法法執行部の部長で今は国際魔法協力部部長だったはずだ
ジュニアということはその息子が死喰い人だったようだな》

『へぇ…
国際魔法協力部の部長だったらこのワールドカップにも来るだろうけれど、表向きはそのジュニアはアズカバンに入ってるって…
実際はどうなんだろうね』


ヴォルとリドルへも聞くに聞けない雰囲気だとリアンは遠慮していたがやはり気になるのだろう


《面白い事になっているのだろうな
何にしてもこのワールドカップ、退屈はしないだろう》

『…そうだね』


小さく笑みをこぼすリアンにサラも目を光らせる

そんな二人を見て楽しそうだとバジも心躍らせた

クィディッチ・ワールドカップ

様々な思いが交差し、波乱を巻き起こすのだろう







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2017/09/23
*あとがき
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