英雄の兄と落ちこぼれの妹

□お買い物
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誕生日を迎えた次の日、リアンはレギュラスと共に荷物を持って居間に立っていた

いつも通りヴォルは腕に抱き、サラとバジは一緒にフードに潜り込んでいる


『マルフォイ邸へは移動キーで向かいます
せっかくルシウスさんが用意してプレゼントして下さったものなので』


去年のクリスマスにルシウスから貰った移動キーを見せるリアンに、レギュラスも頷く


「えぇ、構いません
ご一緒させて頂きます」


そう言ってリアンの差し出した手を取り、リアンと共にキーホルダーに触れたレギュラス

そして次の瞬間、リアンとレギュラスはグンッと身体を引っ張られたかと思えばマルフォイ邸の庭へと降り立った


「待っていたよ、リアン嬢
そしてまさか君まで居るとはね、レギュラス」


手紙で連絡していたために出迎えてくれたルシウスはリアンに微笑み、レギュラスへは探るような目を向ける


「突然の訪問申し訳ありません、ルシウス先輩
ですが私は彼女の忠実なる僕
どのような場所へもついて行くのが勤め
ルシウス先輩ならご理解頂けるかと思いますが…」


レギュラスの言葉に驚いたように目を見開くルシウスだったが、詳しく話を聞くと言って屋敷へ踵を返した


『お誘いありがとうございます
今年もお世話になります』

「ゆっくりしていってくれリアン嬢
私はレギュラスと話があるので書斎に居る
シシーとドラコは居間に居るのでメイドに案内させよう」


そう言ってルシウスは傍に控えていたメイドを呼び付け、案内するよう言い付ける

リアンはそのメイドについて行き、居間へと向かう


「会いたかったわリアンちゃん!」

「リアン、久し振りだな」


居間に入れば満面の笑みでナルシッサが出迎え、見違える様に背の伸びたドラコがソファーを勧めてくれる


『お久しぶりです、ナルシッサさん
ドラコはすごく背が伸びたね
見違えたよ』

「お陰で身体中が痛くて参るよ
リアンも少し伸びたんじゃないか?」

『そうかな?
今年こそは制服買い換えようとは思ってるけど…』

「なら明日お買い物に行きましょう」


制服を買い換えるという話にナルシッサは食い付き、嬉々として提案する

リアン自身、ナルシッサと買い物の約束があるため快く了承し、早速明日の予定が決まる


「ドレスの採寸もしましょうね」

『そういえば今年はダンスパーティーがあるとか…』


ナルシッサの言葉に思い出したリアン

そんなリアンにドラコは頷きながら嬉しそうにそりゃ今年はアレがあるからと言い放つ


『何かあるの?』

「あぁ、今年は200年ぶりに“三大魔法学校対校試合(トライウィザード・トーナメント)”が開催されるんだ」


三大魔法学校対校試合(トライウィザード・トーナメント)

それはヨーロッパで最も大きい学校3校の生徒達が競い合う魔法試合らしい

魔法能力、知力、勇気を計る3つの課題に挑戦し、優勝者には永遠の名誉と栄光である優勝杯、そして賞金をかけて競うという


『…200年ぶりって言ってたけどそれはなぜ?』

「対抗試合は並外れて危険なことで有名なんだ
試合中に選手たちの死亡事故が相次いだらしく、安全の観点から1792年に中止されたんだ
だけど今年からは安全性を考慮した新しい制限を掛けて再開するらしい
ホグワーツで試合を行うらしいんだが、他の学校からも生徒がやって来ることに伴って学校同士の親交を深める為にクリスマスにダンスパーティーが開催されるんだ」


思ったよりも大きなイベントらしい

リアンは嫌な予感を感じながらも何もない事を願った


『なにも無いと良いけど…』


毎年願う事だが毎年叶わぬ願いだった

一層の事願わなければ良いのだが、気持ち的にも願わずにはいられなかった







2017/09/18

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