英雄の兄と落ちこぼれの妹

□最高の誕生日
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『おはようございます』

「おはよう、リアン
お誕生日おめでとう」

「おはようございます、リアンお嬢様!
お誕生日おめでとうございます!」


食堂に顔を覗かせればすぐにやってくるレギュラス

レギュラスに手を引かれてテーブルの椅子に座れば、クリーチャーもリアンへ祝いの言葉を掛ける


『レギュラス、クリーチャー
二人ともありがとう』


頬を淡く染めながらはにかむリアン

そんなリアンに先に座っていたサラとリドルも祝いの言葉を贈る


「お誕生日おめでとう、リアン」

「おめでとう
今年はあの家族も英雄さまも居ないし
気楽に誕生日を過ごせるんじゃない?」

『本当に…
もうあの家には戻りたくなくなっちゃう』


クスクスと笑みをこぼすリアンにレギュラスはキョトンとして首を傾げた


「あのマグルの家に戻る必要はありませんよ
ブラック家とポッター家が遠縁とはいえ血縁なのは事実ですし
リアンは僕が引き取りますから
あちらの者にも許可は取りましたし」


正確には金に物を言わせたレギュラスだったが、バーノンには一番効果的だった


『でもダンブルドアが…
マルフォイ家への養子になるのも邪魔されたんだもの
今回だって…』


目を伏せるリアンにレギュラスは食事中ではあるが席を立った

そしてリアンの座る席の横に膝を着いてリアンの手を取った


「僕はブラック家の当主です
廃れたとはいえその力はまだまだ魔法界でも通用します
大丈夫、僕に任せて
だからせっかくの誕生日にそんな顔をしないで下さい」

『レギュラス…
でも、いいんだよ
レギュラスが居てくれるだけで…
夏休みにあなたが迎え入れてくれれば別に法的に繋がりが無くとも、ぼくはそれだけで…』


古の愛の守護魔法に護られるには条件があった

そしてそれはあのダーズリー家も関係している

だがリアンはその事を知らない

レギュラスは僅かに目を細め、そしてリアンに微笑む


「今日は全部忘れましょう
この屋敷には僕たちだけ
リアンの生まれてきた大切な記念日を盛大に祝うのに外の世界の事は邪魔でしかありませんから」

『…うん、ごめんなさい
ありがとう、レギュラス』


陰が消え、笑顔が戻るリアンにレギュラスはホッと胸を撫で下ろしながら席に戻った

今日は特別

リアンを害する者たちの事なんて考える必要はない

リアンに楽しんでもらわなくては…

レギュラスはクリーチャーに目配せし、そして食事を再開した







2017/09/11

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