英雄の兄と落ちこぼれの妹

□増えたペット
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ヒッポグリフから降りて窓の縁に腰掛けるリアンは、胸元や腹部へ擦り寄ってくるヒッポグリフを相手してやりながらクリーチャーを待っていた


『夏休みが終わればまたホグワーツには行くのよ
だから良い子で待ってて欲しいな』


頭が良く言葉も理解している

だが聞き入れたくないのか、リアンに擦り寄って誤魔化すヒッポグリフに頬を緩ませるが小さく溜め息を吐くリアン

その時、クリーチャーが戻ってきた


「おかえりクリーチャー」

「ただいま戻りました坊っちゃま
お嬢様、クリーチャーめはホグワーツの森番の元へ行きました
ですがホグワーツの森番はそのヒッポグリフをお嬢様にお譲りすると仰いました
誕生日プレゼントだと…
ですのでそれをお伝えにクリーチャーめは戻ってまいりました」


クリーチャーを通じたハグリットの言葉にリアンは頬を引き攣らせた

このヒッポグリフのことはリアン自身もとても気に入っている

だが一生徒にそんな軽々しく譲って良いものだろうか?

しかも誕生日プレゼント扱い…

少し信じられない気持ちになるリアンだったが、溜め息を吐くことでその気持ちを抑える


『ってかそれじゃあまたホグワーツに戻った時どうするのさ…』


頭を抱えたリアンだったが、そんな彼女の髪を優しく撫でながらレギュラスは笑みを浮かべた


「この屋敷で面倒を見ましょう
僕とクリーチャーに任せて下さい」

「クリーチャーめが精一杯お世話させて頂きます!」


レギュラスは勿論、屋敷しもべ妖精のクリーチャーが世話をしてくれるなら安心だ

後はこのヒッポグリフが彼らを受け入れてくれれば…


『良い子に二人の言う事を聞いてくれる?』


ジッとリアンとレギュラス、クリーチャーを見つめるヒッポグリフ

そして仕方がないとでも言うように低く鳴き、リアンに擦り寄った


『夏休みが終わったらホグワーツに戻るけど、勝手にホグワーツに来ちゃダメだよ?』


ギクリと動きが鈍くなるヒッポグリフにリアンが呆れたように半目になってしまったのはご愛嬌


『名前決めようか』


ジッとヒッポグリフを見つめるリアンは、気に入ったのがあったら教えてねと言って名前を連ねる


『ヒッポ、ファルコン、ホルス、オニキス、スピネル、クロ、ネロ、シュヴァルツ、チェレン、ナイル、ノワール…』


頬を舐められ、リアンは口を噤む

そしてもう一度“ノワール”と繰り返せば嬉しそうに鳴く彼?にリアンは首元を撫でながらぎゅっと抱き締めた


『今日からよろしくね、ノワール
ずっとそばに居てね』


頬を擦り寄せ、応えるように鳴くノワールにリアンは小さく笑みをこぼした


「また変なのが増えたな」


溜め息混じりに吐き捨てたヴォルにリアンはムッとしたものの、サラやリドル、バジにレギュラスと次々拾っていった自分を思い出して口籠る

いや、別にみんなが変ってわけじゃないけど…


「寄生するしか能のない厨二病の糞猫に記憶の思念体で永遠の16歳と思っているが中身はただのおっさんな紙屑
後は命の恩人という恩を拗らせて変なマーキングをするガキか
確かに変なのばかりだな」

『さ、サラ…』


あまりの言い草にリアンは顔を引き攣らせながら咎めるようにサラを呼ぶが、聞く耳を持ちそうになかった


「千年以上生きている癖にリアンに骨抜きにされたロリコン爺が…
貴様には言われたくない」

「若作りの隠居爺の癖に口は達者だよね
あ、爺だから口が達者なんだね」

「だいたいあなたもリアンの魔力に頼ってる癖に偉そうなんですよ
さっさと成仏して下さい」


負けず劣らずの毒舌を披露する三人にキレるサラ

喧嘩する四人にもう知らないと目を背けたリアンだったが、仲が悪いのは大変だけどやっぱりこのメンバーでずっと暮らせたら…と想いを馳せる

想像してフッと笑みをこぼすリアンは四人の喧嘩から逃げてきたバジと擦り寄るノワールを優しく撫でながら喧嘩が終わるのをゆっくりと待ったのだった







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2017/09/10
*あとがき
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