英雄の兄と落ちこぼれの妹
□増えたペット
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リアンは屋敷を抜け出して湖の畔を散歩していた
思い掛けなく恥ずかしいキス歴を公開する事になり、顔の火照りが冷めないリアン
恥ずかしくてヴォルやサラは勿論のこと、リドルのロケットも部屋に置いてバジにも隠れて一人抜け出してきたのだ
まだ日が高く、湖の水面がキラキラと光るのを眺めながら、リアンは思わぬ事実を知った事を思い出す
一年の時、ハリー達の罰則で禁じられた森に行った時にユニコーンを襲っていたのはヴォルだった
そしてあの時、リアンが意識を失う前に唇に触れた温もり
『…ノーカン、ノーカン
まだぼくはファーストキス終わってない
ノーカンだからファーストキスもまだなんだから…』
言い聞かせるように呟いていたリアンは気付いていない
空から近付いてくる黒い影に…
その影は大きく旋回すると、リアン目掛けて下降してくる
羽音に気付いたリアンが見上げると同時に降り立ったのは漆黒のヒッポグリフだった
『あなた…ホグワーツの…』
擦り寄ってくるヒッポグリフに確信したリアンはある事に気付く
『またハグリットの所から抜け出してきたの?』
咎めるような物言いのリアンにしょんぼりするヒッポグリフ
リアンは小さく溜め息を吐いた
『ホグワーツから抜け出してきちゃダメじゃない
早く戻らないと…』
イヤイヤという様に首を横に振るヒッポグリフはグリグリとリアンの胸元に頭を擦り寄せた
そんなヒッポグリフの首を撫でてやりながらリアンはどうしようかと考える
『…相談してみるしかないね』
リアンは仕方なく屋敷に戻る事にした
だがヒッポグリフを屋敷の中に入れるわけにもいかず、彼?(彼女?)自身もリアンから離れたがらなかったため、窓の外から確認する羽目になった
ヒッポグリフの背に乗せられたリアンは一階に居てくれればいいなと願いながら、窓を覗いて部屋の中に誰か居るか確認する
そして三つ目の窓でようやくレギュラスを見つけることが出来た
「どうしたのですか?
なぜここにヒッポグリフが…」
窓からリアンが覗いて居るのに気付いたレギュラスが窓を開けて声を掛ける
そしてリアンが乗っているヒッポグリフに気付いたレギュラスは首を傾げた
ソファーで紅茶を飲んでいたリドルも気付いてやって来る
「リアンに懐いてるヒッポグリフじゃないか
わざわざここまで来たのかい?」
リドルの言葉に苦笑いを浮かべるリアン
レギュラスはクリーチャーを呼んでハグリットの元へ行かせるのを横目に、ヴォルもやって来て窓の縁にお座りする
「貴様には本当によく懐いている…
そのヒッポグリフに何かしたのか?」
『一緒に居てるのに何もしてないって知ってるでしょ?
まぁここまで懐かれるのは悪い気はしないけど…
でも脱走はダメだよ』
ヴォルを横目にヒッポグリフを撫でるリアンだったが、小さく溜め息を吐きながらそう言い放つ
だがヒッポグリフは嫌々と言うように首を横に振って聞き届ける様子は無い
『困ったなぁ…』
まさかホグワーツを脱走するとは思っていなかったリアンはまた溜め息を吐いた
2017/09/01
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