英雄の兄と落ちこぼれの妹

□ゴーント家の指輪
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レギュラスの屋敷で一夜を明かしたリアン

用意されていた黒のワンピースと黒に黒のサテンの刺繍が施されたローブを羽織ってリアンは部屋を出る


「おはようございます」


リアンが扉を開ければ、部屋のすぐ外にレギュラスが立っていた

リアンは驚きつつもおはようございますと返せば、彼はすぐに跪いてリアンの手の甲にキスをした


「朝食の用意は出来ているので
ご案内させて頂きます」


昨日の黒いスーツではなく、黒のタートルネックにジャケットを羽織り、その上からシルバーの刺繍が施されたローブを羽織るレギュラスはリアンの手を取り、食堂へと案内する

昨日からレギュラスはずっとこの調子だった

リアンが動こうとする事を先回りしてしてしまうか、それが無理でも手伝おうとする


「クリーチャーの料理はとても美味しいでしょう?
次はこれを食べてみて下さい」


こんな風に食事の時まで…


「おいクソガキ」
「ちょっと…」


食事は必要無いが、紅茶を飲んでいたサラとリドルが我慢ならずに口を開く

リアンは助かったとホッとするが…


「僕だってまだあーんとかした事ないのに調子に乗らないでくれないかい?
ほら、リアン
そんな奴じゃなく僕が食べさせてあげるよ」

「おい紙屑
貴様も調子に乗るな
リアン、こんな紙屑からではなく私が食べさせてやろう
さぁ、私の膝に座りなさい」

『あの…レギュラスさん
ぼくは一人で食べられるんで…
後二人も悪ノリしないで
そんな事しないからね!』


レギュラスからフォークを返して貰い、ようやくリアンは落ち着いて食事を始める

レギュラスは不満気ではあったが、諦めて自分も食べ始める


「騒々しいな…」

『そんな事言って…
助けてくれたっていいじゃない
ヴォルのいじわる…』


一人静かに別で出された物を食べていたヴォルがボソッと呟くが、耳聡く聞いていたリアンは不満を漏らした

だがヴォルからしたらサラたちの相手は面倒以外の何物でも無く、リアンには悪いが相手をしてられなかった


『レギュラスさん』

「レギュラスでいいですよ
どうかしましたか?」

『えっと…ここはどこなんですか?
後リトル・ハングルトンに行くには…』

「ここは一応魔法界ですが、結構辺鄙な所なので…
リトル・ハングルトンには僕が付き添い姿現しで連れて行って差し上げますのでご安心を…」


レギュラスも行くとは思っていなかったリアンは少し驚くが、夏休みの間は魔法を使ってはいけないのでレギュラスの提案は願ったりだった

朝食が終わり、リアンは杖と巾着を持ち、サラとバジをそれぞれ腕に巻き付かせ、ヴォルをフードに入れてレギュラスの前に立った


「では参りましょう」


差し出されたレギュラスの手を取り、リアンは姿現し特有の感覚に備える

次の瞬間、リアンとレギュラスは墓地に立っていた

目の前の墓にはトム・リドルと名前が刻まれており、リアンは目を見開いた


「ゴーント家はあっちだ」


フードから飛び降りたヴォルにリアンはハッとして振り返る

既に歩き出しているヴォルにリアンは墓を気にしながらもついて行った







2017/08/26

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