英雄の兄と落ちこぼれの妹

□叫びの屋敷へ
1ページ/8ページ





試験が全て終わったリアンは図書館に来ていた

試験が終わって図書館に来るものが少なくなったためにほとんど人が居なかった

リアンはいつもの奥の席に座り、また“忍びの地図”を開く

そこで目を疑う様なものがあった

ハリーとハーマイオニーの名前が二つずつあるのだ


《これは…》

『どういうこと…?』


呆然と地図を見ていると、ハグリットの小屋からハリーとロン、ハーマイオニーが出て来るのだが、そこにピーター・ペティグリューの名前も加わっていた


『ピーター・ペティグリュー?
この名前…』

「…リアン
どうかしたのか?」

『この名前、前からちょこちょこ見かけるんだよね…
あ、シリウス・ブラックが…』


シリウス・ブラックがハリー達に近付き、ロンとピーター・ペティグリューと一緒に叫びの屋敷に向かうのが見えた


『シリウス・ブラックとピーター・ペティグリュー…』


リアンは突然立ち上がると過去の新聞記事が置いてあるコーナーへ向かった

そして見つけた

十二年前の記事でシリウス・ブラックが捕らえられた記事の中に犠牲者の一人としてピーター・ペティグリューの名前があることを


『父さんの友達だったとルシウスさんが前に言っていたんだ
だから名前に聞き覚えがあった…』


小さく呟くリアンにヴォルは表情が険しくなる

この子は賢い…

すぐに気付くはずだ

真実に…


『死んだはずのピーター・ペティグリューが生きている
そしてずっとそいつを追っていたシリウス・ブラック
あぁ、裏切り者はシリウス・ブラックじゃなくこっちなんだ』


シリウス・ブラックはピーター・ペティグリューに嵌められたのだろう

スッキリしたリアンは新聞記事を元の場所に戻した


『なんだ、予想通りじゃないか
むしろ単純な話だね』

「…リアン?」

『ヴォルは勿論知っていたんだよね
部下だもん
知らない訳ないよね』

「…」


黙り込むヴォルにリアンは図書館の出入り口に向かいながらクスクスと笑う

そして図書館を出てすぐに肩に居たヴォルを抱き上げて向き合う


『別に怒ってないよ
ただぼくでもすぐに気付いた事実
ダンブルドアが気付かない訳がない
むしろもっと早くに気付いていたはずだ
なのにシリウス・ブラックをずっと放置してたんだね
そっちの方が不愉快だよ』


寮に向かって歩くリアンをヴォルは腕の中から見上げる


「どうするんだ?」

『どうもしないよ
もう勝手に出て来てる上にピーター・ペティグリューも捕らえた様だし
ぼくにはやる事もないし興味も無いもの
あぁ、でもヴォルは困るのかな?
自分の部下が捕らえられたら』

「…問題無い
対処はしてある」

『だからずっとリドルが居ないんだね
まぁなんでもいいけど』


頭が良い

だが考え物でもある

気付いて欲しく無い事まですぐに気付いてしまうとは…


『それにしてもハリーとグレンジャーの名前が二つずつあったのって…ん?』


疑問を口にしようとしていたリアン

だが前方からルーピンが急いでいる様子で走っているのが見えて止まる


「リアンっ
ちょうど良い…
君も来なさい!」

『え?』


ルーピンはリアンの答えを聞かずに腕を掴んで走り出す

リアンは転けそうになるが、なんとかルーピンに着いて行く







2017/08/20

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ