英雄の兄と落ちこぼれの妹

□幸せな勘違い
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新学期の授業にも慣れてきた頃、ハロウィンの時期がやってきた

しかも初めてのホグズミード行きがちょうどハロウィンの日と発表された

だがリアンはホグズミードに行く事が出来ない

ハリーがマージおばさんの罵倒に耐え切れず膨らますという事件を起こしたからだ


「お土産買ってきてあげるよ
甘いものが好きだったよね?
ハニーデュークスでお菓子を沢山買ってあげるから」


一年の時から優しくしてくれるセドリックは落ち込むリアンを励ます

リアンはそんなセドリックの優しさにぎこちなくも笑みを返した


「僕も残るよ」

『ドラコ?』


ハロウィン前日、ドラコは夕食の時に何の前触れもなく言い放つ


「ホグズミードに行けるのは何も今年だけってわけじゃない
リアンだけ残して行くのは…」


セドリックに続きドラコまでリアンを気遣っていた

自分は幸せ者だなと噛み締めながら、リアンは笑みを浮かべた


『確かに今年は行けないけれど、来年は分からないから
だからドラコは来年ぼくが行く時にオススメのお店を紹介出来るようにいっぱい楽しんできて欲しいな
来年は一緒にホグズミードに行こう』


ドラコは驚いたようにリアンを見るが、グッと何かを決意したように拳を握り力強く頷く


「リアン…
たっくさんお菓子を買ってくるからな!
来年は最高のエスコートをしてやる」

『うん
楽しみにしてるね』


そう言ってドラコに笑顔を向けたリアンだったが、やはり当日になれば気分も落ちる

ハリーが居るかもしれないと心配するドラコにリアンは寮の入り口までの見送りとなった

ドラコを見送ったリアンはすぐに自室に舞い戻る


「戻ってきたんだ
図書館には行かないのかい?」


部屋に戻るとリドルが長い足を組んで本を読んでいた

リアンは何だか久しぶりにリドルに会ったような気がして酷く驚いた


『図書館には…後で行くかな
それにしても久しぶりだね、リドル』

「って言っても授業とかは見てたんだけどね
ハグリットの授業は酷い失敗
あぁ、でもヒッポグリフに気に入られていたね
後はボガードにはハリー・ポッターに化けられてたっけ」


新学期早々よくやるよと吐き捨てるリドルにリアンは苦笑いをこぼす


「おまけに吸魂鬼がうろうろしてるし、今年は本当に面倒だね」

『ぼくやハリーは気をつけないと…ね
それにしてもずっとどこに…』


そこで口を閉じたリアンにリドルは怪訝そうな表情で窺い見る

だがリアンはそれ以上尋ねようとするわけでもなく、宿題を広げる

リドルがどこで何をしていようと関係ない

変に詮索するべきではない

そう自分に咎めながらリアンは無言で羽根ペンを動かす

そんなリアンにリドルは読んでいた本をパタンと閉じた


「シリウス・ブラックについてちょっと探っていたんだよ
そうじゃなくてもヒッポグリフの件で色々あるみたいだしね
暇だから情報収集してるのさ」


まさか教えて貰えると思っていなかったリアンは意外そうに目を丸めたが、フッと笑みをこぼす


『程々にしないと幾らダンブルドア校長が忙しいからって…』

「分かってるよ
そういえばそろそろクィディッチのシーズンだけどあの腕でドラコは出るのかい?」

『もう治ってるらしいけど、キャプテンが許してくれないって愚痴ってた』


今年こそはハリーに勝とうと息巻いていたドラコを窘めていたクィディッチのキャプテン、フリントを思い出していたリアンには一つ気がかりがあった


『吸魂鬼って人が集まる所に来たりしないかな?
だってずっと囚人から離れて見張りをしているんでしょう?
餌もなく飢えている状態の筈』

「…確かに最近、吸魂鬼たちは落ち着かなくなってきてるらしいね
あの狸爺も吸魂鬼に対しては頑なに拒み続けている
そろそろまずい事になるかもしれない
やっぱりリアンは今年のクィディッチを見に行かない方が良いかもしれない」


今の精神状態では魔力の制御の訓練も実らないと判断したサラはリアンをまだ指導してはいなかった

守護霊の呪文を使えない以上、影響を受けやすいリアンは吸魂鬼に近付かない方がいいとリドルは言い放つ


「何にしても校内にさえ居てればあの狸爺が吸魂鬼“からは”守ってくれるんじゃないか?」

『…そうだね』







2017/08/14
2017/09/10誤字修正

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