英雄の兄と落ちこぼれの妹

□噂
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決闘クラブの次の日からリアンやハリーはスリザリンの継承者としてホグワーツ中から噂されるようになった

そんなリアンを心配そうに見るドラコをリアンはあえて避けながら一人で行動していた

ハリーが機会があればリアンに話し掛けようとして来ることもあって、リアンはハリーからも逃げるのにも忙しくしていた

ある時、廊下の曲がり角に居たリアンは生徒がたむろして話している内容をたまたま聞いてしまった


「パーセルマウスは闇の魔法使いの印なんだぜ」

「まず蛇と話が出来る魔法使いでまともな奴は居ないじゃないか」

「“例のあの人”に襲われて生き残れたのは闇の魔法使いだからなんじゃねぇの?」


ただ蛇と意思疎通出来るだけで何故そこまで言われなくてはいけないのか

リアンは悔しくて、悲しくて

血が滲むぐらい唇を噛み締めて、爪が食い込むぐらい拳を握り締めた


「何をしているのかね?
授業が休講になったからとはいえ勉強をせずに遊び惚ける理由にはならんぞ」


話していた生徒達の背後からスネイプが現れ、話していた生徒達を順に見て注意する

注意された生徒達は慌てて何処かへ走り去るのを見送ったスネイプは、リアンが居る曲がり角へやって来た

そして立ち竦んでいるリアンを見て目を見開いた


「…Ms.ポッター
こんな所で何を…」


スネイプは先程の生徒達の様に嫌味でも言って寮に帰そうと考えるが、彼らが話していた内容とリアンがこの曲がり角で立ち尽くしている状況を見てハッとする


「(聞いていたのか…)」


小さな握り拳を震わせて俯いているリアンにスネイプは小さく溜め息を吐くとリアンの手を取って方向転換した


「(放っておけばいいものを…我輩も馬鹿になったものだ…)」


無言でリアンの手を引いて歩き出したスネイプにリアンは戸惑うが、何も言えずに大人しく着いて行く

スネイプがリアンを連れて来た先は魔法薬学の教室の奥にあるスネイプの私室だった

ソファーに座らされたリアンは、紅茶を入れるスネイプの背中を見つめていた


「飲んだら寮に戻れ」


そう言って紅茶をリアンに渡すスネイプ

リアンはジッとスネイプを見つめて尋ねた


『先生は何故ぼくに優しくしてくれるんですか?』


自分の紅茶を飲もうとしていたスネイプはリアンの言葉に一瞬戸惑う


『ハリーと違ってぼくはスリザリンの継承者としか思えないでしょう?
スリザリンで、パーセルマウスで、しかも生き残りのぼくは実はスリザリンの子孫で、秘密の部屋を開けた張本人かもしれませんよ?』


挑発的に言うリアンをスネイプは馬鹿馬鹿しいと呟いた

そんなスネイプにリアンは驚きを隠せない様子で目を見開いていた


「くだらんな
そんな噂など気に留める価値すらもない
貴様がスリザリンであろうとパーセルマウスであろうと、スリザリンの子孫だと
スリザリンの継承者で秘密の部屋を開けた張本人である証拠にはならん
第一、秘密の部屋が本当にあるのかどうかも分からんのだ
くだらん戯言でしかない」

『でもパーセルマウスの魔法使いは闇の魔法使いだと…』

「噂に振り回される様な餓鬼が闇の魔法使いだとでも?
もしそうなら闇払いも苦労しないだろうな」


はっきりと否定したスネイプにリアンはポカンと口を開けてスネイプを凝視した


「たかが蛇と話せるぐらいで無駄に騒ぎ過ぎだと思わんかね?」


心底不愉快そうに言い放つスネイプにリアンはプッと吹き出した


『先生って面白いですね
皆、ぼくやハリーを怖がってるのに』

「餓鬼が怖くて教師なんぞやってられん
Ms.ポッターもくだらん噂に振り回される暇があるのなら、勉強でもしたらどうだね」

『そうですね
今度こそハーマイオニーに勝てる様に頑張ります』


リアンは紅茶を飲みながらスネイプを見た

誤解されやすい人だけどとても優しい人

先生もあの場に居たのに…

わざわざぼくを慰めてくれた

魔力の事はまだ引っかかるし貴方がぼく自身を見てくれないことも許容する気はない

でも貴方は本当にぼくを護ってくれる人だと…

それだけは信じてるよ







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2014/8/15
*あとがき
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