英雄の兄と落ちこぼれの妹
□決闘クラブ
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あれから一週間程経つが、ハリー達が自首したかどうかはリアンには分からなかった
確かめる気もなく、とりあえず自分はハリーのやっている事を受け入れられないとハリーに伝えられただけ良しとしようと思ったリアンは慣れない事をしたこともあり、以上は大人しくしようと心に決めてヴォルやサラと穏やかな日々を過ごしていた
ある日玄関ホールを歩いていると、掲示板の前に人集りが出来ているのを見つけるリアン
興味本位で近付くと“決闘クラブ”のお知らせが貼り出されていた
「決闘クラブか…
まぁやってみても良いんじゃないか?」
《やはり対人経験は必要だからな
小手調べには持ってこいだろう》
意外にも二人の反応が良かった為、リアンは決闘クラブに出ることになった
夜八時の大広間
思ったよりも大勢の生徒が決闘クラブに来ており、食事用のテーブルがない大広間には生徒達が群れの様に集まっていた
『フリットウィック先生って確か若い時決闘チャンピオンだって言ってたし、フリットウィック先生がやるのかな?』
「さぁな」
《あの法螺吹きじゃなければ誰だって構わないだろう》
そう言ったサラに嫌な予感がしたリアンとヴォル
そしてその嫌な予感は的中だった
どきつい深紫のローブを纏い、後ろにスネイプを従えて現れたギルデロイ・ロックハートにリアン達は揃って顔を顰める
『え…
ハリーを骨抜きにしたあの人が決闘なんて出来るの?』
《また誰かを骨抜きにするつもりじゃあないのか?》
『じゃあスネイプ先生が危ないよ』
困惑するリアンにヴォルは面白そうに笑みを零しながら否定した
「いや、多分もっと面白い事になるぞ
見ものだな」
元部下であるスネイプは闇の魔術は勿論、不死鳥の騎士団とも渡り合って来たのだ
そうやすやすとやられるなんて事は有り得ないと分かっているヴォルは、見えやすい様にリアンの肩から頭へと移動した
そんなヴォルに不安が募るリアンは、心配そうにスネイプの模範演技を見守った
「ご覧のように、私たちは作法に従って杖を構えています
三つ数えて最初の術を掛けます
勿論、どちらも相手を殺すつもりはありません」
いや、スネイプには確実に殺意がある!
大広間に集まる生徒達は密かに突っ込んだ
「では一
二
三…」
スネイプもロックハートも杖を肩より高く振り上げる
そしてスネイプが叫んだ
「エクスペリアームズ!」
スネイプの杖から紅の閃光が走ったかと思うと、ロックハートは舞台から膨大に吹っ飛び、後ろ向きに宙を飛んで壁に激突した
壁伝いにズルズルと滑り落ちながら床に無様に大の字になったロックハート
思わず笑いを零すリアン
鼻で膨大に笑い飛ばしながら武装解除ではなく失神呪文にすれば良かったのにと呟くヴォル
呆れた様子で冷たい目線を送りながらむしろ息の根を止めれば良かったのでは?と物騒な事を零すサラ
そして内心、スネイプに拍手喝采を送る三人はフラフラなロックハートが引き攣りながらもまだ笑顔を浮かべてる事に膨大に舌打ちした
「さ、さあ皆分かったでしょうね!
あれが“武装解除の術”です
ご覧の通り、私は杖を失ったわけです
スネイプ先生、確かに生徒にあの術を見せようとしたのは素晴らしいお考えです
しかし、遠慮無く一言申し上げれば先生が何をなさろうとしたかがあまりに見え透いていましたね
それを止めようと思えばいとも簡単だったでしょう
しかし、生徒に見せた方が教育的によいとおもいましてね…」
見え透いているのはロックハートの嘘の方だ
リアンは不快そうに顔を顰めた
ヴォルも磔の呪文にすれば…などと零す始末だった
あの鈍感なロックハートもスネイプの殺気にようやく気付いたらしく、模範演技を終えて生徒達を二人づつ組ませ始める
2014/8/14
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