英雄の兄と落ちこぼれの妹
□密会
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図書室の奥にある人気の無いテーブルに座るリアン
以前、ヴォルに滅多に人が来ない良い席だと教えて貰い、図書室に来る時はこの席に座るようになった
今日はヴォルもサラも居ない事と魔法史の宿題のレポートのために図書室へ来ていたリアン
レポートと資料を広げながら宿題をしていたリアンは前の席に誰かが座った事に気付き顔を上げた
そこに居たのは、いつかの晩に出会ったスリザリン生だった
「やぁ」
『こんにちは』
にっこり笑うスリザリン生にリアンは淡々と返す
そんなリアンに笑みを深める彼
「宿題かい?」
『はい
先輩?…はぼくに何か用があるんですか?』
「用って言うか、たまたま君を見かけたからね」
『そうですか
そういえば名前…』
前回会った時に名前を聞いたリアンだったが、次に会った時にと返された
今がその次だからと名前を尋ねる
「僕かい?
僕は…リドルだよ」
『リドル先輩?』
少し間を開けて答えた彼、リドルはにっこりと綺麗な笑顔をリアンに向けるが、リアンはその笑顔に一瞬顔を顰める
すぐにレポートに目を移したリアンにリドルは目を細めた
「…君とはゆっくり話がしたかったんだ」
こてんと首を傾げるリドルにリアンはレポートから顔を上げた
だがリドルはそのレポートがまだ三分の一程残っている事に気付いて杖を取り出した
「先にレポート終わらせちゃおうか
魔法史ならこの本が参考になるよ」
図書室では魔法は禁じられている
リアンが何か言う前にリドルはサッと杖を振るい、幾つかの本が机に積み重なる
リアンはレポートの手伝いをしてくれるリドルを不思議そうに見上げるが、リドルは笑みを浮かべてリアンを促す
聞いても答えてくれなさそうな彼にリアンは諦めてレポートに取り掛かる
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