英雄の兄と落ちこぼれの妹

□最悪の誕生日
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バーノンがハリーを怒鳴る声で目が覚めたリアン

せっかくの誕生日の朝なんだからもっと穏やかに目覚めたいと願うのも仕方がない

毎年誕生日の日には録なことが起きない

去年はホグワーツからの手紙のせいで車で逃げ回るのに付き合わされて、ハグリットが迎えには来たけれども、知りたくない事実まで知ってしまった

その前はハリーの我が儘で木の上に登って、降りれなくなった子犬を助けて木から落ちて骨折

その前は喧嘩するハリーを庇って殴られた

その前は捻挫、その前は擦り傷だったが、結構酷い怪我

思い出せばきりがない

今までの誕生日の惨事を思い浮かべいたリアンだったが、怒鳴り声で目が覚めたのか、もぞもぞと迷惑そうに唸るヴォルに気付く

枕元にとぐろを巻いていたサラも怪訝そうな顔をして首をもたげた

そんな二人?を見てクスッとリアンは笑うと、またバーノンが怒鳴り声が家に響く

ハリーのペットの梟、ヘドウィグの鳴き声のせいで毎朝の恒例行事になってしまったこの怒声

ふわっと欠伸をしてリアンは物置から出た

ダドリーの第二の部屋を与えられたハリーとリアン

少し背が高くなったハリーに部屋をやり、リアンは今まで通り物置で過ごす事でそれぞれ部屋を手に入れる事が出来た

最初ハリーはリアンと別の部屋になることを渋っていたが、着替えの面も不便だと伝えると少し顔を赤くして了承した

ちなみに、着替えの事を話に出すようにしたのはサラの入れ知恵だ

お陰でリアンはヴォルとサラと共に悠々自適に過ごしていた

だがそれも物置きの中での話だ

物置きから一歩外に出ればそうではなくなる

朝食の席ではまだ怒りが収まらないバーノンに、リアンは怒りに触れない様にさっさと物置きへ戻ろうと黙々と朝食を食べていた

だがハリーは破裂寸前の癇癪玉の様なバーノンの神経を逆撫でするように言い放った


「うんざりしてるんだよ
何時も外を飛び回っていたんだもの」


その言葉に怒りを覚えたリアンはハリーを睨み付ける

適当に話を流せばバーノンおじさんもすぐに落ち着いて怒鳴り散らすこともないのに、火に油を注いでどうする

巨大な口髭の先に卵焼きをちょっぴりぶら下げたまま唸るバーノンを、塵でも見るような目で見るヴォルを撫でながら自分を落ち着けるリアン

やっと部屋が別れたんだ

下手に手出ししてとばっちりを受けるのはごめんだ

そう思いながら気持ちを静めていると、ふいにゲーップーッという大きな音が聞こえた

音源を見るとダドリーが膨大にげっぷだった事に気付き、リアンとヴォルは眉をひそめる

もっとベーコンが欲しいとねだるダドリーをうっとりと眺めるペチュニア

付き合っていられない

ダドリーの巨体も、ハリーのバカな発言も、バーノンおじさんの癇癪も付き合っていられない

リアンは一人、ただひたすら黙って静かにこの茶番が終わるのを待った








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