英雄の兄と落ちこぼれの妹

□禁じられた森
1ページ/4ページ





あの後、リアンは部屋に戻らずヴォルやサラに何も言わないまま処罰の為の集合場所に行った

ハリーに渡された透明マントを羽織って

そこにはハリーはもう居ており、ハーマイオニーやネビル、何故かドラコも居た

キョロキョロと見回すハリーを見付け、誰にも気付かれないようにハリーのローブを小さく掴んでクイクイっと引っ張った

ハリーは気付いたようで、少し微笑んで落ち着いた

隠れて着いていくリアン

フィルチの幼稚な脅しの演説をうんざりしながら聞き流し、溜め息をつきそうになるのを必死に堪えた

しばらくするとハグリッドの小屋に着いた

ハリーがホッとした顔をするとすかさずフィルチが脅しをかけた


「あの木偶の坊と一緒に楽しもうと思っているんだろうねぇ?
坊や、もう一度よく考えた方がいいねぇ…
君たちがこれから行くのは森の中だ
もし全員無傷で戻ってきたら私の見込み違いだがね」


フィルチの言葉にネビルは低い呻き声を上げ、ドラコはその場でピタッと動かなくなった


「森だって?
そんなところに夜行けないよ…
それこそいろんなものがいるんだろう?
狼男だとか、そう聞いてるけど?」


いつもの冷静で高圧的な喋り方をするドラコの声には覇気がなく、冷静さを失っていた

ネビルはハリーのローブの袖をしっかり握り、ヒィーッと息を詰まらせた


「悪いことをしたら償わにゃいかん
ホグワーツにいたいなら森に行かんとな」


お前が言うな

全ての元凶の癖に

思わず心の中でハグリッドに悪態ついたリアン

法を犯して無茶苦茶した上に、そのとばっちりはハリー達や回り回ってリアンに回ってくる

ヴォル程ではないが、自分もハグリッドを嫌いになりそうだとリアンは感じた


「よーし、それじゃあよーく聞いてくれ
なんせ、俺たちが今夜やろうとしていることは危険なんだ
皆軽はずみなことをしちゃいかん
しばらくはわしについて来てくれ」


ハグリッドが先頭に立って、森の外れまでやってきた

ランプを高く掲げ、ハグリッドは暗く生い茂った木々の奥へと消えていく細い曲がりくねった獣道を指した

森の中を覗き混むと一陣の風が皆の髪を逆立てた

ハグリッドがある場所を指す

地面にある銀色の液体だ

あれは一角獣の血液らしい

一角獣は強い魔力を持った神聖な生き物だ

只事じゃないと感じたリアンは冷や汗を流した

一角獣を襲い、殺して血を奪うなんて…

この処罰、無事で済むと良いんだけど…

リアンの心配はこの後すぐに的中するのだった








次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ