英雄の兄と落ちこぼれの妹

□向けられた杖先
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穏やかで幸せな休暇の日々が過ぎ去るのは早いもので、リアンは名残惜しくもナルシッサと別れてドラコと共にホグワーツに戻る

リアンがドラコから離れた瞬間、計ったかの様にハリーが現れた


「やっと一人になったね」

『な、んで…』

「フレッドとジョージがね
クリスマスプレゼントにこれをくれたんだ」


そう言ってハリーは古い羊皮紙をポケットから取り出した

だがそれにはサラがくれた“忍びの地図”の様にホグワーツの見取り図とどこに誰がいるか点で記されていた


《グリフィンドールの双子から貰ったようだな
厄介な奴に渡すとは…》


サラが前に言っていたのはこの地図の事だと気付くリアンだったが、今はそれどころではない


「ずっとマルフォイと一緒に居るなんて悪い子
リアンはマルフォイなんかじゃなく僕と居なくちゃいけないんだよ」


ハリーの言葉にリアンは言いようの無い不快感を抱く


「だいたい、休暇の間どこに居たんだ?
ホグワーツに居ないし、色々話したいことがあったのに…」

「…リアン、落ち着け
怒るよりも逃げろ
様子もおかしいし言ってる事も滅茶苦茶だ
付き合っていたら逆に危険だぞ」


耳元で囁くヴォルにリアンは頷いてハリーから距離を取ろうとする


『悪いけど忙しいの
話を聞いてる暇なんて無いわ』

「リアンが僕より優先させることなんてあるわけ無いだろ
ちゃんと聞いてよ!」


ハリーの言葉にリアンは愕然とした

何を言われているのか一瞬理解出来なかった

だがハリーの言葉をようやく飲み込んだ時にはリアンの中でどうしようもない怒りが湧き上がる

どういう思考回路をしているんだ

ぼくをなんだと思っているんだ

都合の良い人形じゃない

都合の良いオモチャじゃない

ちゃんと一人の人間なのに!!

怒りで魔力が暴走しかけて廊下の壁が軋んだ

だがハリーが杖を抜いた事でそれらは止まり、リアンの表情が怒りから驚愕へと変わる


「ロコモーター・モルティス!」

『…っプロテゴ!』


逃げようとするリアンにハリーが足縛りの呪文を放つ

リアンは咄嗟に盾の呪文で防ぐが自分に杖を向けるだけでなく、呪文まで放ったハリーに愕然とする







2017/08/17

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