英雄の兄と落ちこぼれの妹

□クリスマス休暇
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与えられた客間でどこからか分からないがようやく戻ってきたバジを膝に乗せるリアン

バジは何となくリアンが変わったと感じたが、その手や眼差しは変わらず優しいものだと気付き、リアンに擦り寄る


『それにしても代々スリザリンだったブラック家唯一のグリフィンドール生になったシリウス・ブラックが裏切り者ね…』


意味深に呟くリアンに実体化して紅茶を飲んでいたリドルがその整った眉をしかめた


「シリウス・ブラックが気になるのかい?」

『引っかかるなって思ってるだけだよ
グリフィンドールでも所詮はブラック家だったんだって言われるより、むしろブラック家の異端者を都合良く利用して嵌めたって言われた方がしっくり来るね
何にしてもお父さんは友人に裏切られるような人間だった
ただそれだけでしょ』


スルリとバジを撫でるリアン

その手はとても優しいものだが、言い放つ言葉には何の温もりもなく

ただただ冷たい刃物の如く


「へぇ…言うね
じゃあもし本当にシリウス・ブラックが嵌められたのなら君は彼を助けるのかい?」

『別に』


考える素振りも見せず否定するリアン

そして彼女は柔らかく穏やかに微笑んだ


『何もしない
だってどうでもいいもの』


両親の友人すらも容赦無く切り捨てる

リアンは変わった

ハリーに杖を向けられたあの瞬間から


『ねえ、そんなことよりも
リドル達へも甘さ控えめでお菓子を作ったの
良かったら食べて』


リアンはバスケットからクッキーとマフィンを取り出してテーブルに並べた

バジにも小さく千切ったマフィンを与えるリアン

その笑顔は決して上辺だけの偽物ではない

貼り付けたような温度のないものでもない

純粋に

楽しそうに

穏やかな笑みを浮かべるリアン

彼女は変わった

でも根本は

その笑顔は変わらなかった事に安心しながら、ヴォルとサラ、リドルはリアンのお菓子を食べた


「…意外だね
美味いじゃないか」

《とても美味しい
ありがとうリアン》

「…まぁまぁだな」


それぞれの感想にリアンは笑顔をこぼした







2017/08/16

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