英雄の兄と落ちこぼれの妹

□正反対
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マクゴナガル先生の部屋にはウィーズリー夫婦が居て、二人は部屋に入ってきたジニーを見た途端飛び付いて抱き締めた

ハリーとリアンは同じく部屋に居たダンブルドアに視線を向ける

リアンはハリー達から一歩離れ、リドルの日記をぎゅっと抱き締めた

今日は本当に疲れた…

早く寝たいなぁ…


「リアン
君もこちらへ座りなさい」


ダンブルドアの声にリアンはぼんやりしていた意識がはっきりする

気がつくとマクゴナガル先生、ウィーズリー夫妻やジニー、ロンやロックハートは既に部屋から居なくなっており、暖炉の側の椅子にダンブルドアが腰掛けていた

ダンブルドアの言う通り、ハリーと共に椅子に座るリアン

そんな二人を見てダンブルドアは話し始めた


「まずはハリー
君に礼を言おう
秘密の部屋の中で、君はわしに真の信頼を示してくれたに違いない
それでなければ、フォークスは君の所に呼び寄せられなかった筈じゃ」


ダンブルドアは膝の上で羽を休めているフォークスを撫でた

ダンブルドアに対する真の信頼

グリフィンドールであるハリーにあって

スリザリンであるリアンに無いもの

リアンはハリーと自分は本当に正反対で、闇と光だという事を実感する

ハリーはダンブルドアを信じて疑わない

対するリアンはダンブルドアを嫌悪して止まない

ハリーに対しての制約魔法

去年の出来事

ダンブルドアはハリーにヴォルデモート卿を倒させる為に動いている

賢者の石に興味を持たせ、賢者の石を守る教師達の守りもホグワーツ入りたての生徒でも解ける程度のものにして、ハリーとヴォルデモート卿を対峙させた

ハリーに危険があってもリアンが居る

ハリーが人を殺し掛けてもそれを褒め称え、ハリーに罪悪感を抱かせないようにした

ダンブルドアは…

ハリーに殺しの教育を施している

リアンが居なかったらクィレル先生は死んでいた

サラやヴォルが居なかったらリドルも消えていた

リアンはダンブルドアが恐ろしくて仕方なかった

俯くリアンにヴォルは頬を寄せ、サラも頬を舐める

そんな二人にリアンはホッと息を吐く


「リアン
君もジニーと共に秘密の部屋に連れ去られていたじゃろう」


ダンブルドアの言葉に考え込んでいたリアンはダンブルドアを見る


「ハリー同様にトム・リドルはリアンに関心を示していた
じゃがそれはハリーとは全く別の形でだった
そうじゃろう?」

『…はい』


この人はどこまで知っているのだろうか…

リアンは見透かすような青い瞳に寒気を覚える


「トム・リドルは愛を受け入れなかった
じゃが君と出会って彼はそれを知った
違うかのう?」

『…』

「だからこそ本当に残念だと思う
もっと早くにそうなっていれば彼はまた違った道を歩んだのかもしれん…」


リアンはダンブルドアがリドルの事で後悔しているのだと感じた

けれどもダンブルドアがヴォルやリドルの事で悔いているとしてもそれはリアンには関係のない事だった

その後悔からハリーを英雄に仕立て上げる事になったのだろう

だがそれもリアンには関係のない事だ


『…トム・リドルが抱いた想いはぼくにはよく分かりません
けれども愛や想いには色んな形がありますし、それはぼくじゃなくても与えられるはずです
彼がもっと早く気付ければとダンブルドア先生は仰いましたが、気付ける機会が彼にはあったのでしょうか?
ダンブルドア先生は彼に機会を与えたんですか?』


人に求めるばかり

人に強要するばかり

貴方自身は何をしたんだ?


「…わしは」

「何を言ってるんだリアン
ヴォルデモートは学生時代から闇に落ちたとんでもない奴だ
ダンブルドア先生は関係無いよ」


ダンブルドアが迷いを見せた瞬間、ハリーが言い放つ

そんなハリーにリアンは目を伏せた


『…ハリー、ぼくらだって同じだ
ぼくらと闇の帝王は紙一重なんだよ
彼が何を思い、どんな風に生きてきたか知らないけれど、ダーズリー家を思い出しなよ
魔法史で習った魔法使いの迫害を思い出しなよ』


魔法を知らない時から人とも思わない扱いをされた

完全な虐待だった

何の力も持たない癖に弱い子供だったぼく達への仕打ちを考えれば…


『ハリーが偉そうにそんな事言える資格は無い
純血主義が存在するのは仕方無いことだ
だってダーズリー家の人達の、マグル達の行いを見れば…
全員がそうとは言えないけれど、やっぱりぼくは完全に悪だって言えないよ…』


ダーズリー家の者達を思い出して押し黙るハリー

リアンはジッと見つめてくるダンブルドアを真っ直ぐ見返した


ぼくは貴方の味方じゃない

ぼくは貴方の駒なんかじゃない

ぼくは貴方を絶対に許しはしない







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2014/12/21
2017/08/05修正

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