英雄の兄と落ちこぼれの妹

□相見える
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その手にリアンの杖を持ち、杖をリドルに向けながらサラは凍て付く様な眼差しでリドルを見る

リアンは慌ててサラとリドルの間に入った


「あいつにはまだ私の正体を教えるつもりはない
だからこの餓鬼の口封じをするのだ」

『頭吹き飛ばす意味は!?』

「生意気なクソ餓鬼には吹き飛ばすぐらいが丁度いいだろう」

『死んじゃう!
リドル死んじゃうから!』


リアンとサラのやり取りを見てリドルは眉を顰めた

自分を攫って兄を殺そうとした相手を何故庇うのだろうか?


「貴方にとって自身の正体を知られたくない相手が此処に来るのか?」

「勘違いするな
個人的には教えたくないだけで、損得で言っている訳ではない
知られた所で困りはしない
こんな事で弱味を握ったとでも?
冗談も甚だしい
私には貴様を消し屑にして黙らせる事も出来るんだぞ」


サラの言葉にリドルは眉だけでなく顔も顰めた

非難の目でサラを見るリアンにサラは苦笑いをこぼした


「分かっている
この餓鬼が身を弁えれば良いだけの話だ
リアンがこの餓鬼と話したい事も承知の上だ」


そのやり取りを見てリドルは確信した

やはり上下関係ではリアンの方が上だ

サラザール・スリザリンともあろう者が小娘に下手に出ている


『リドル』


リドルの思考がリアンの静かな声で中断させられる


『リドル、ぼくは君と話がしたいの
聞きたい事がある
とりあえず、今はサラの事黙ってて欲しいの』


自分と同じ深紅の瞳と自分とは異なる翠の瞳を揺らしながらリアンは不安気に見つめてくる

あぁ…

君にそんな事を言われたら…


「…分かったよ」


断れる訳無いじゃないか…







2014/12/21

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