英雄の兄と落ちこぼれの妹

□相見える
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リアンがリドルを見ると、リドルが杖で宙に文字を書いていた

それは自分の名前だった

TOM MARVOLO RIDDLE

リドルがふわふわと宙を漂うその文字の間に杖を滑らせてアルファベットをかき乱す

すると、そのアルファベットは先ほどとは違う形で整列した

I AM LORD VOLDEMORT

その文字にリアンは目を見開いた


『りどるが…ゔぉる?』


ホグワーツの制服に身を包むリドルが闇の帝王

今は猫になっているヴォルがリドル

リアンが驚いているその時だった

不死鳥が現れたのだ

不死鳥はハリーに組み分け帽子を渡してハリーの肩に留まった


「ダンブルドアが味方に送ってきたのはそんなものか!
歌い鳥に古帽子じゃないか!
ハリー・ポッター、さぞかし心強いだろう?
もう安心だと思うか?」


あの不死鳥はダンブルドアの差し金か…

リアンはゆっくりと身を起こしながら不死鳥と組分け帽子を見た

あの人の差し金ならただの組み分け帽子ではない

何か仕掛けがある筈だ…


「ハリー、本題に入ろうか」


リドルはハリーが何故、未来の自分に二度も打ち勝ったか気になるらしい


「君が僕を襲ったとき、どうして君が力を失ったのか、誰にも分からない
僕自身もわからない
でも、なぜ君が僕を殺せなかったか、僕にはわかる
母が、僕を庇って死んだからだ
母は普通の、マグル生まれの母だ」


そこまで理解出来ていたんだ…

リアンは単純にそう思った

去年の行動を考えると成長したと感じた


「去年僕は本当の君を見た
落ちぶれた残骸だ
辛うじて生きてる
君の力の成れの果てだ
君は逃げ隠れして醜く汚らわしい!」


いや、やっぱり成長していない

ハリーにそうやって蔑む権利があるのか?

それこそ落ちぶれていると言える

リアンは一気に冷めた頭で思った

リドルは顔を歪め、それから無理やりぞっとする様な笑顔を取り繕った


「そうか
母親が君を救う為に死んだ
なるほど…それは呪いに対する強力な反対呪文だ
結局君自身にはリアンと違って特別なものは何も無いわけだ」

「リアンを…」

「勿論知っているよ
君がリアンに対してどんな風に思い、接してるかもね」


ハリーはリアンが居るのに気付いていない様子で、リドルはリアンを一瞥しながら言った


「君とリアン、僕には不思議と似た所がある
混血で、孤児で、マグルに育てられた
偉大なるスリザリン自身以来、ホグワーツに入学した生徒の中で蛇語を話せるのは、たった三人だけだろう
リアンは僕と同じ目の色までしてる
だけどハリー
君は僕の手から逃れられたのは、結局幸運だったからに過ぎないのか
それだけ分かれば十分だ」


リドルは歪んだ笑みを浮かべた


「君にリアンは勿体無い
リアンは僕が大事に可愛がってやる
君は安心して死ぬがいい」







2014/12/20

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