英雄の兄と落ちこぼれの妹

□記憶との融解
2ページ/4ページ





優しくリアンを抱き上げたリドル

リアンは金縛り呪文とは別に、体から力が抜けるのを感じた

それは前にも感じた事があった感覚だった

サラへ魔力を何時もより多く与えた時と同じ感覚だ


「やっぱり君の魔力は違うね…」


うっとりと目を細めながら言うリドルにリアンは訳が分からなかった

ゆったりと歩くリドルの腕に抱かれるリアン

リドルは上機嫌に返事が出来ないリアンへ話続ける


「君にはヴォルデモートの魔力がある
その左目にね
その魔力は君自身の魔力にも影響している
だから君の魔力は僕と相性が良いんだ
ジニーの魔力とは比べ物にならないぐらいにね
ヴォルデモートの魔力関係無しに君自身の魔力の大きさは膨大だけどね」


魔力の大きさは初めて見た時も驚いたよ

クスクスと笑みをこぼしながら言うリドル

だけどリアンの魔力の膨大さのお陰でジニーは今まで保ったとも言える

リドルの冷たい眼差しにリアンは背筋が凍った

いつの間にか着いた三階の女子トイレ

何故かマートルは居なかった


「---開け---」


リドルの口から発せられた言葉と共に蛇の鳴き声の様なシューシューとした音が重なる

多分これが蛇語なのだろう

ぼんやりとリアンは思った


「ジニーは本当に使えない子だったよ
無駄に日記に書き込んで
怯える癖にまた日記にのめり込む
毎日毎日、うんざりする様な幼稚な会話だった
それに比べて君との会話は…
とても充実していたよ」


動き出した手洗い場

ぽっかりと空いた穴へとリドルは魔法で降りる


「でも可哀想なリアン
君はこんなに素晴らしい魔女なのに皆ハリー、ハリーって
君なんかハリーのお飾りか引き立て役
それか使い捨ての駒か盾扱いだ」


誰もこの子自身を見ようとしなかった

でも僕は違う

可哀想なリアン

僕なら…

守ってあげれる

リアンを傷付けて追い詰めて劣等感を与えるハリーを殺してあげる

そうすれば君は辛くない

リアンを見ようともせずハリーと比べてばかりの周りの人間なんかと会わなくていい

視界に入れなくていい

嫌な思いをしない様に

ストレスを感じない様に

傷付かない様に

秘密の部屋へ閉じ込めてしまおう

君の為だけの部屋に

美しいスリザリンの姫君の為だけの部屋に

スリザリンが作り出した秘密の部屋ならぴったりだ

蛇が好きならバジリスクと戯れれば良い

例え誰かが侵入出来たとしてもバジリスクが侵入者を始末してくれる

僕と共に未来永劫過ごそう

退屈なんて言わせない

僕が君を幸せにしてあげよう

だから僕と共に…

この暗く冷たい

だけど静寂で平穏な

秘密の部屋で

毒蛇の王と

闇の帝王と

闇の姫君だけで


「もうすぐ…
もうすぐだ…」


ゆっくりと僕の完全な肉体が取り戻される

愚かな英雄も引きずり落とす

実体さえ手に入れれば…

あのサラザール・スリザリンだって僕の敵じゃない







2014/12/19

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ