英雄の兄と落ちこぼれの妹

□ポリジュース薬
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『そこで何をしてるの!?』


杖を構えたままトイレの中に入ったリアンの視界に飛び込んだのは、大鍋を囲むハリー達


「リアン!?」

「どうして此処に…」


驚いた様子のハリーとハーマイオニーが声を上げる

ロンが杖を取り出そうとしたのでリアンはすかさず魔法を放つ


『エクスペリアームズ!』


リアンが放った紅の光線はロンの腕に当たり、杖はリアンの後方へ飛んで行った


『貴方達が魔法薬学の授業で何かしてたのは知ってる
目的は何?
何故あんな酷いことをしたの?』

「話を聞いてリアン
これには訳があって…」

『どんな訳があろうとぼくの友達を傷付ける理由にはならない!
きちんと説明して貰ったら先生に報告する
魔法薬学でハリーが投げた花火も、ハーマイオニーが盗んだ物のことも、女子トイレに男子であるハリーとロンが入り込んだことも全てね』

「リアン!」


リアンを止めようとハリーが立ち上がるが、ハリーの足元にリアンは魔法を放った


『ハーマイオニーも下手な事は考えないでね
これでもぼくはハーマイオニーと同等の知識があるんだから』


リアンの言葉に杖を取り出そうとしていたハーマイオニーは諦めて杖から手を離した


「ハリー、ロン
ちゃんとリアンに説明すべきだわ
彼女の言ったとおり私達は彼女の友達を傷付けたもの」

「何を言っているんだいハーマイオニー
スリザリンの奴らだぜ?
あの位どうってことないさ」

『それは無関係なのにふくれ薬が掛かってしまったグリフィンドール生に対しても言えるのかしらロナルド・ウィーズリー』


ロンの言葉に僅かに低くなった声色でリアンは静かに言い放つ

リアンの言葉にロンは勿論、ハーマイオニーやハリーも気まずそうに黙り込んだ


《あの薬…ポリジュース薬だな》

『ポリジュース薬?
確かだいぶ前にスネイプ先生が話していた自分以外の誰かに変身出来る薬…』

「禁書の棚にある“最も強力な薬”に載っている薬だな
大方あの授業で騒ぎを起こしたのは生徒用の棚にない毒ツルヘビの皮と二角獣の角を盗み出す為だろう」


小声で話すサラとヴォルにリアンはハリー達を見た


『その薬…ポリジュース薬でしょ?
何に使うの?』

「スリザリンの談話室に入り込んでマルフォイに聞きたい事があったんだ
…その…秘密の部屋について…」


リアンの問いにハリーが答えた

リアンは眉を顰めた


「代々スリザリンの家系のマルフォイ家が今回の事件に関わっているとでも思ったのか
安直過ぎるな」


ヴォルの鋭い突っ込みにリアンも内心同意する


『ポリジュース薬を作ったのは凄いと思う
だけどやり方が間違ってる
ましてやドラコを疑うなんて…
お互い気に食わないのは分かるけど、だからって許される行為じゃない
ハーマイオニーはもっと常識のある賢い人だと思ってた
ハリーだってこんな酷い事をするなんて思わなかった
幻滅したよ
三人共スネイプ先生に自首してふくれ薬を被った人達にちゃんと謝罪して
じゃないとぼくが先生に報告するから』


リアンはそう言って女子トイレから出て行った

複雑な表情で廊下を歩くリアンにヴォルとサラは声を掛ける


「あまり気に病むなよ」

《グリフィンドールの者達の考えと相容れぬのは仕方のないことだ
あのもの達は自分の正義しか見えていないのだから》

『…分かってる
分かってるけど…』


やり切れない気持ちにリアンはどうしたら良いのか分からなかった

あの三人がリアンの言う通りにするとは思えなかったが、何も言わずに見過ごす事も出来なかった

リアンはただただあの三人が思い止まってくれるのを願った







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2014/8/14
*あとがき
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