英雄の兄と落ちこぼれの妹

□ポリジュース薬
2ページ/4ページ





皆が解毒剤を飲み、混乱もようやく収まる

スネイプはゴイルの大鍋の底から黒焦げの縮れた花火の燃え滓をすくい上げ、それを見た生徒達はシーンと静かになる


「これを投げ入れた者が分かった暁には
我輩が、間違いなくそやつを退学にさせてやる」


そう言ってハリーを真っ直ぐ見据えるスネイプ

リアンも横目でハリーを見るが、ハリーは素知らぬ顔を取り繕う

自分のやった事の重大さが分かっていない

丁度その時、終業ベルが鳴り響く

荷物を纏めるリアンにドラコが話し掛けた


「さっきは助かった」

『ううん…
咄嗟にあれぐらいしか出来なかったから』


浮かない顔のリアンにドラコは満面の笑みでとんでもないと言った


「リアンが守ってくれなかったら僕も大変な事になっていただろう
本当にありがとう」


曖昧に返事をしてドラコと別れたリアンは早足で教室を出る

そんなリアンをスネイプは怪訝そうな表情で見つめていたのをヴォルとサラは気付いたが、それよりも切羽詰まった様子でハリーを追い掛けるリアンの方が重要だった

ハリー達に気付かれない様に後を着けるリアンにヴォルとサラは顔を顰める


「何をしている?
愚兄を追い掛けて厄介事に自ら飛び込むつもりか?」

《何を切羽詰まっているか知らぬが余計な事に首を突っ込むな》

『だって…
ハリー達がスネイプ先生やスリザリン生を嫌いなのは知ってるけど、やって良いことと悪いことがある
無関係なグリフィンドール生もふくれ薬の被害にあってた…
何が目的か知らないけど、あまりにも自分勝手過ぎるっ』


息を潜めて人気の無い廊下を歩く三人を追い掛けるリアンにヴォルとサラは溜め息をついた

リアンの言うことは最もだが、あまりにも危険過ぎる

リドルに攫われたばかりなのに何を考えているだと言いたくなる


《あの教師に言えばいいではないか》

「あの教師なら喜んで退学にしてくれるぞ
特に貴様の愚兄とウィーズリー家の坊主に関してはな」


フンと鼻で笑いながらヴォルが吐き捨てるが、リアンは退学にしたいわけではなかったのでスネイプには言わなかった

言ったとしてもダンブルドアが揉み消すだろう


『目的が分からなくちゃどうしようもないよ』


言っても聞かないだろうリアンにヴォルもサラもお手上げだった

三階の女子トイレに入って行ったハリー達を見届けたリアンは杖を構える

三階の女子トイレに入って行ったハリー達を見たヴォルとサラはそれぞれ顔を顰めた

この場所は…


《…リアン、油断するなよ》

「ここから先は手助け出来んぞ」

『分かってる』


リアンは覚悟を決めて女子トイレの中に杖を構えて入って行く







2014/8/14

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ