英雄の兄と落ちこぼれの妹
□初めてのクィディッチ
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ヴォルとサラを連れてクィディッチの試合を見に行くリアンだったが、観客の歓声と熱気に圧倒されて立ち尽くしていた
広い闘技場には赤と緑の観客が溢れ返らんばかりにそれぞれのチームの応援をしている
ぼんやりとその様子を眺めていたリアンは不意に後ろから声を掛けられる
「ポッター嬢?
こんな所で立ち尽くしてどうなさったのだ?」
リアンが振り返るとそこはドラコの父、ルシウス・マルフォイとルシウスと共にスネイプが立っていた
リドルの話を聞いて、スネイプも自分の魔力の高さを知っておきながら何も言ってくれなかったと思っているリアンは気まずそうにスネイプから目を逸らす
『ルシウスさん…』
「息子の応援に来てくれたのかな?」
『はい
ドラコに誘われて…
始めての試合だからと』
リアンの言葉にルシウスは嬉しそうに、満足そうに頷いた
「今回は私からもスリザリンのチームには少々投資して居てね、結果は分かり切っては居るが、一応息子の応援にも来たのだよ
良かったら一緒に観戦しないかい?」
『ぼくで良ければ…』
ルシウスに差し出される手を取るリアンはルシウスにエスコートされながらスネイプに案内された観客席に座る
初めて見るクィディッチの試合にリアンは周りの雰囲気と勢いに負けそうになりながらも視線を向ける
スリザリンのチームとグリフィンドールのチームがやって来た
ドラコの姿が確認出来たリアンは顔を綻ばせる
「ドラコはよく手紙を送ってくれてね、君の話ばかりするんだ
君は非常に優秀らしいね」
ドラコを見て居ると、突然ルシウスが話し始めた
リアンがルシウスを見上げれば、ルシウスは笑みを浮かべる
「今度のクリスマスパーティーには出席して頂けるのかな?」
『…いえ、ぼくなんかが行ったらご迷惑でしょうし』
「息子は是非と言っているが?」
困った様に黙り込むリアンにルシウスはクスクスと笑みを零す
「すまないね
無理強いをしたい訳ではないのだよ
だが夏休みは是非、我が家へご招待したいのだが如何だろうか?」
『ご迷惑でなければ、是非遊びに伺わせて頂きたいです』
夏休みはダーズリー家に帰されるリアン
せめてほんの一日でもダーズリー家やハリーから離れられる日があるのなら、リアンはそれ程嬉しいものはないと喜んだ
リアンとルシウスがクディッチに意識を戻すと、スリザリンもグリフィンドールも両チーム共箒に跨って浮かび上がっていた
そして試合開始の合図が鳴る
物凄いスピードで飛び回る選手たちにリアンは目を丸くしながら食い入る様に見つめる
2014/8/8
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