英雄の兄と落ちこぼれの妹

□密会
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リドルside




初めて彼女と出会ったのはウィーズリー家でだった

マルフォイ邸で長い間魔力の補給がなく、ぼんやりとした夢現の状態で放置されていた僕

だが突如注がれた弱い魔力

弱い魔力でも僕の意識を覚醒させるには十分で、そこからうんざりするような幼稚なやりとりが始まった

今年入学する魔女、ジニーとのやりとりの差中奪った魔力は少しづつだが僕に力を与えた

日記に書き込まれなくとも周囲の音を拾うぐらいに

その時感じた大きな魔力の持ち主、それがリアンだった

彼女が近くに居るだけでほんの少しずつだがジニーとやり取りするぐらいの魔力が僕に注ぎ込まれる

予定より早く力を手に入れた僕は彼女の事をジニーから聞き出した

そして彼女があのハリー・ポッターの妹であると知った

どんな運命の巡り合わせかと柄にもなく思った程、僕はその事実に高揚した

僕は少しずつ彼女に近付いた

実際会って彼女と話してみて、彼女はジニーとは違い話していて楽しかった

彼女は僕が思った以上に賢かったからだ

密かに彼女が英雄の兄に比べれば落ちこぼれだと言われている噂を耳にしていた分、その事実は嬉しい誤算だった

シーカーであるハリーと違って箒の才能もない

実技も特化して良い訳じゃない

むしろ少し弱い

去年の出来事だってハリーの活躍だと

そう噂されているのを耳にしていたが、実際は学年主席

しかも僕と同じかそれ以上の魔力の持ち主だと確信していた

箒の才能はどうか知らないが、実技に関しては膨大な魔力を上手く使いこなせてないだけだろう

実際去年の出来事を目の当たりにはしていないが、去年の闇の魔術に対する防衛術の教師を療術で処置したその実力は無視出来ないだろう

魔力さえ上手く使いこなせれば、彼女は恐らくこの闇の帝王に肩を並べる事が出来るぐらい強力な魔法使いになるだろう

だがホグワーツの教師達は誰もこの子に膨大な魔力の扱い方を教えようとしない

僕にはそれが不思議で仕方無かった


『あの…、どうかしましたか?』


考え込んでいた僕に心配そうに声を掛ける彼女

僕はにっこりと微笑み、大丈夫だと伝えれば彼女は戸惑ったような表情を浮かべてすぐに俯く

僕はそんな彼女の頬に手を添えて顔を上げさせた


『え…、あの…』

「僕と同じ目だね」


驚いたように目を見開く彼女の少し長い前髪を払って露わにさせた左目

僕と同じ赤い瞳

だけど彼女の右目は翠色だ

僕とは違うオッドアイの瞳


『リドル先輩?』

「君には膨大な魔力がある」

『!?』

「でもホグワーツの教師達はそれを気付いていながらコントロールを教えようとしないんだね」


表情が凍りつく彼女

自分の口角が上がるのを感じながら僕は続けた


「教師達はハリーばかり気に掛けて、君には無頓着なんだね」

「去年の出来事だってそうさ」

「英雄のハリーがまたやってくれた」

「寮対抗杯でグリフィンドールが優勝できたのはハリーのお陰」

「箒の才能があるハリーはクィデッチでも活躍してる」

「それに比べて君は落ちこぼれ」

「箒の才能もない、実技だって微妙」

「英雄の兄に比べて君は何と落ちこぼれなんだろうね」


段々光を失って虚ろな目をする彼女

持ち上がる口角を隠す事もせず、僕はただただ彼女を責めた

思った通り、彼女は自分の兄がコンプレックスらしい

目に涙を浮かべて、否定もしない彼女に僕は何とも言えない感情に胸がいっぱいだった

何の理由もなしに僕は彼女を責めない

だって僕は彼女が気に入っているから








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