英雄の兄と落ちこぼれの妹
□幽かな声
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寮に戻ったリアンはお風呂に入ってすぐにベッドに入る
精神的疲れからか、深く眠りにつくリアンだったが聞こえてきたある声に目を覚ます
《来るんだ…
俺様のところへ…
引き裂いてやる…
八つ裂きにしてやる…
殺してやる…》
骨の髄まで凍てつく様な冷たく低い声に、リアンは飛び起きた
周りを見渡すと、ヴォルやサラも居らず、リアンはパジャマの上からカーディガンを羽織ってそろそろと部屋から出て行った
寮から出るとひんやりとした空気がリアンに纏わり付き、リアンはカーディガンの合わせ目を手繰り寄せて廊下を歩き出した
フィルチや教授達に見つかったら罰則だと分かっていたが、ヴォルとサラが居ない事に耐えられそうになかったリアン
先程聞こえた恐ろしい声の事もあり、当てもなく二人を探し求めて彷徨い歩く
しばらく歩いて居ると前方から男子生徒が歩いてくるのに気付くリアン
咄嗟に物陰に隠れるリアンだったが、クスクスと笑い声が聞こえてきた
笑っていたのは歩いて来ていた男子生徒で、その男子生徒はリアンの目の前までやって来た
「こんばんは」
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