英雄の兄と落ちこぼれの妹

□落ちこぼれ
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授業が終わり、ドラコが心配そうな顔をするがリアンにはそんな彼に気を掛ける余裕もなく、逃げる様にドラコから離れる

次の授業もあるがリアンはそれどころじゃなく、夢中で走っていると辿り着いたのは湖の畔だった

止め処なく溢れ出る涙にリアンは力が抜けたようにへたり込んだ

ロックハートに言われた言葉が頭から離れない

毎晩見ているあの日の夢がリアンを蝕む

静かに泣き続けるリアンにヴォルとサラは慰める様に擦り寄った

ロックハートにいい様に言われているのをただ見てることしか出来なかった自分を責めながら

リアンはそんなヴォルとサラを苦しくない程度に強く抱き締める

分かっている

分かっている

自分はお母さんに愛されていなかった

自分は何もしていない

自分は何も出来ない

ただただ呪いを受けただけの才能のない落ちこぼれだ

ハリーみたいに箒は上手くない

ハリーの様に愛されていない

所詮、自分はハリーを守る為の捨て駒に過ぎない

一方ヴォルは、自分自身が元凶であるがために酷く自分を責めた

リアンは何も悪くない

なのに愚兄の事すらも全てリアンが責められるこの理不尽過ぎる現状に嫌気が差す

何か出来ることはないだろうか

リアンの為に何か…

一方サラは契約によってリアンの想いが全て伝わっていた

何も出来ない自分が歯痒い

こんなに傷付いて居るのに守ってやる事すら出来ない自分が恨めしい

出来る事なら全ての痛みから守ってやりたい

それぞれの思いを互いに知り得る事を出来ないまま、ただただ時間が過ぎていく








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